フィルムのこと

2023年1月29日 (日)

フィルムの酸っぱい香りは、危険な証。

古い撮影済みフイルムの劣化という事件が起こりました。フィルムを保管してあるボックスを久々に開けたところ、かなりはっきりとした酸っぱい香りがしたのですな。
ややや、ひょっとして加水分解の時に出る酢酸ガス?これってマズイのではって、慌ててフィルムを出しました。状況を確かめてみると、45年近く前に自分で現像とプリントをやっていた頃に自家現像した白黒フィルムの一部がマズイ状態。フィルムがボロボロになるところまでのひどい劣化というわけではなく、当時使っていたネガケースにくっついて出てこない状態になっていたのですな。
現像後の定着や水洗処理が甘かったのでしょうか、原因は分からないのですけど、とにかく酸っぱい匂いがしているのは事実なので、ネガケースを切り開いてくっついている数本のフィルムを取り出し、他のネガケースに入れ直しましたよ。
そしてまずきちんとした情報を得ようと、ネットで調べるとプロラボ「堀内カラー」のサイトに「写真フィルムの劣化 加水分解とその対処法は?」という分かりやすく詳しい解説が出てました。
それによるとフィルムには酢酸セルロースって成分が含まれてて、経年変化でその酢酸が空気中の水分に溶け出すことで、加水分解を起こし酢酸ガスを発生させるそう。で、その酢酸ガスがフィルムに付くと加速度的に加水分解が進むという悪循環。
高温多湿の環境で密閉した保管ボックス内で酢酸ガスが充満すると、他のフィルムまで加水分解が進行してしまうのですな。サイトにはボロボロになったフィルムの無残な写真が掲載されていました。

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なのでさっそく他の保管ボックスも調べてみたのですけど、マウントして保管してあるリバーサルフィルムは大丈夫、ただしネガケースに入れてみっちりとボックスに入れていたカラーネガフィルムの一部がくっついてました。いずれのボックスも富士フィルムから発売されているカビ防止剤を入れていたのですけど、ぎゅうぎゅう詰めがマズかったのかと。
とはいえ美術館の収蔵庫レベルの保管なんて無理ですし、解説にも「写真フィルムは遅かれ早かれ必ず劣化します。」って出てましたから、現状維持を心がけつつ、やばくなっているフィルムから先に、デジタル化を早急に進めるしか無いかなと思いましたよ。もうすでにかなりの数はデジタル化しているのですけど、リバーサルフィルム中心でネガフィルムはまだ手を付けてないのがありますからねぇ。
フィルムのデジタル化については過去に何度も記事にしていますし、ニコンのフィルムスキャナが使いすぎで壊れてからは、デジカメで複写に方向転換して色々道具を作ったりもしましたな。それなりに手間はかかりますけど、残すためにはこれしか方法がないかと。
写真歴が長く昔撮ったフィルムがたくさん残ってらっしゃる方は、一度点検されてみてはいかがでしょうか。

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2023年1月12日 (木)

さすがにもうフィルム無理かも。(笑)

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ここ数年、フィルムの値上げニュースを見るたびに、もうフィルムで撮るのは無理かもって嘆いてましたけど、1月7日に「デジカメinfo」って情報サイトに掲載された「コダックが1月16日にフィルムの価格を20~40%程度値上げ」ってニュースには驚きましたな。出どころは「ナショナル・フォート」ってプロラボのサイトに出てたニュースだそう。
リバーサルフィルム「エクタクロームE100」の35mm、36枚撮りが5,630円!だって。フィルム1本が5,000円超えですからね。オジサン常用のフジクロームVelviaやPROVIAはこれを書いてる時点で、量販店やフィルム専門店で2,000円ちょいぐらいの値段でした、これでも十分高いのですけど何だか安く見えてしまいますな。(笑)
って笑えませんよ。コダックファンの方の悲鳴が聞こえそうな値上げですからね。もう金持ちの趣味を通り越して富豪の贅沢ですよ。怖いのはこれだけお高くなっても、フィルムファンが我慢して使ってくれるのなら、追従して富士フィルムさんやその他のメーカーも軒並み値上げってことになるのじゃないかってところ。
そもそもフィルムが高くなったって言ってるのは、昔の安かった時代を知ってる世代ですからね、そんなのを知らない、生まれた時にはすでにデジタルな若い方には、フィルムってこれぐらいお金がかかるモノって認識みたいで、高くても楽しんでるというか、そもそも高いって思ってないのかもしれませんな。知らんけど。(笑)
この状況が良くなることなんてありませんから、現実を受け入れるしかないのですけど、正直言ってオジサン自身は富士フィルムさんのミラーレスカメラを使いだして、フィルムシミュレーションの出来の良さに、フィルムへの執着といいますか、フィルムじゃなければって気持ちは薄れていきましたな、ただ使ってやれないままになってるフィルムカメラが不憫なだけです。

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現役で働いていた頃ならともかく、収入のない状況でフィルムカメラを楽しんでたら、家内に首根っこ掴まれてハローワークに連れて行かれますよ。なので気持ちは「フィルムさん、立派なお値段に出世されて。だけどオジサンはもう無理だから、お金持ちに可愛がってもらってね」って感じでしょうかね。
フィルム代だけの話じゃないですからね、現像代もしっかりかかります。更に現像所も少なくなって時間もかかりますな。オジサンの好きなリバーサルフィルムは一番状況が悪いかと。プロラボで2時間で仕上げてくれた時代は遠い昔になりましたな。
なのでまだ温存してあるフィルムカメラを眺めながら、どうしたものか考え中。って答えは出てますけどねぇ。(笑)

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2023年1月 5日 (木)

「エモい」フィルムカメラが復権?ホントかなぁ。(笑)

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昨年暮れ12月29日の神戸新聞NEXTに『「エモい」フィルムカメラが復権 デジタル世代「きれいすぎない」 現像データはスマホへ、が今どき』って新聞社なのに「何このタイトル、長過ぎて入ってこないし」な記事が掲載されました。(笑)
それによるとフィルムカメラがデジタル世代を中心にじわじわと支持を広げているそう。デジタル世代って言い方がすでに死語感がありますけどね、オジサンのようなアナログ世代の方が既に少数ですから。(笑)
で、早い話、Z世代だとか今時の若い子にとってフィルムって「写りがキレイすぎずエモい」んだそう。だけどプリントはしないそうで、DPEショップでやってくれるデータ化サービスでスマホに入れてSNSなどで発信共有するのが令和の写真作法なのでしょうなぁ。
フィルムってアナログなものの体験も、最終的に自分たちの生まれた時からあるデジタルなプラットフォームで便利に遊んでいるのが今時ってことなのかと。(笑)

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フィルム写真を「写りがきれいすぎない」ってどういうこと?って思いましたけど、スマホもデジカメもホントきれいすぎる写真がいとも簡単に撮れますからね、例えればスーパーやコンビニで売られている冷凍食品やインスタント食品の感じかなぁと。今時はすごく出来が良くて、チンするだけでこの美味しさ&クオリティなのって驚きます、誰が作っても間違いない味わいなわけで。
対してフィルム写真って料理をしたことがない方が一から材料揃えてやるようなもんかと。焦がしたり、味付け失敗したり、思ってたのと違う出来だったり。フィルムカメラで撮るのは、まともに撮れない、失敗だらけ、現像するまで分からないから出来上がりが読めないってところが似てますな。きっとその辺りがフィルムカメラの面白さなんだと新鮮に感じてくれたのでしょうね。

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ただこれがずっと続くかと考えると、ちょっと疑問符。今時のブームメントって受け止めた方がいいのではないかと。コダックからハーフサイズカメラが発売されたり、ペンタックスさんのフィルムカメラプロジェクトなど、フィルムカメラ界隈は、にぎやかになってきているのは確かですけどねぇ。
だけど「エモい」なんて言われてるのはカラーネガフィルムばかりですからね、白黒フィルムやリバーサルフィルムはほとんど話題にも上がってませんし、フィルムの値段、種類、現像のインフラなど考えるとブームが終わったあとが怖いですな。
記事によると中古フィルムカメラを学生さんが買い求めるそうで、フィルムカメラをブームだけで終わらせたくないのなら中古カメラ屋さんの協力も必要でしょうな。
儲けよりフィルムを使ってもらうためにカメラを広めるぐらいの心意気で思いっきり安くして、ネットに転がってる取扱説明書をプリントしてカメラに付けて販売するとか、昔のカメラに詳しい店員さんを専門アドバイザーの名札つけて配置するとかね、ぜひやって欲しいですなぁ。(笑)

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ちなみに同じ日にもうひとつフィルム関連記事が掲載されてました。「映像写真部員、初めてのフィルム撮影 36枚撮り1650円!…シャッターを押せない 一枚一枚、刻む思い出」だって。
もうねタイトルなんとかならなかったのかと。上の方が添削指導しなかったのでしょうかね、ダラダラ長いだけのひどいタイトルですなぁ。タイトルじゃなくて説明文ですよコレ。内容は初めてのフィル撮影の顛末でしたな、興味のある方はどうぞ。(笑)

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2022年12月24日 (土)

ペンタックス、ペンタックス、フィルムだよ。

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このご時世のこの時期にこのニュースですからね、フィルムカメラファンにはビッグサプライズと言いますか、デカすぎるクリスマスプレゼントかと。(笑)
写真&カメラファンの方はすでにご存知だと思いますが、12月20日にリコーイメージング株式会社が、ペンタックスブランドでフィルムカメラの開発検討を行う「フィルムカメラプロジェクト」の開始をアナウンスしていましたな、動画も出てたので見ましたよ。
2本の動画の内、TKO(鈴木タケオ)さんが語る「PENTAX Film Project Story #1」では、誰もが安心して楽しめるフィルムカメラの開発、新製品で保証が付いてて、若いユーザーの手の届く値段で出すことでフィルムカルチャーを支えたいというのと、フィルムカメラ製造の技術やノウハウの伝承について述べてましたな。
フィルムカメラ製造を知る世代はすでに定年退職、今やらないと技術やノウハウが途絶えてしまうそうで、そうなるとフィルムカメラは作れなくなるそうなのですな。フィルムカメラと言っても古いカメラの復刻じゃなく、新しい今の時代にマッチしたフィルムカメラをペンタックスという集団で真剣に作り出していきたいと思っていると述べてました。
で、まずコンパクトカメラ、そのハイエンドカメラ、一眼レフ、フルメカニカルの一眼レフというロードマップを考えているみたい。ペンタックスさんですからね、最初からフルメカニカル一眼レフってのも面白いのじゃないかと思いますけどね。(笑)
今の時代にマッチしたってところがどんなデザインになるのか興味がありますけど、それ以前にプロジェクト自体が続けられるのかって部分も不安定要素が一杯でハラハラドキドキ。
フィルムカメラの開発「検討」ですからね、カメラは作れるからGOってことになっても、フィルムの製造供給状況や現像所のインフラも考えないといけないでしょうから、色々なところを巻き込んだり、協力を仰いだりしなくてならず、なかなか前途多難ではないかと思いますね。ま、間違いなくクラウドファンディングで資金調達はするでしょうな、でなきゃまず無理だと思います。
で、フィルムカメラの技術やノウハウの伝承に重きを置くのなら、他のメーカーも巻き込んで未来に伝える技術ってことでメーカーの垣根を超えた業界の取り組みぐらいに持っていくのもありでしょうね。
その場合富士フィルムさんのように、カメラもフィルムも現像も全部やってますってところが、名乗りを上げてくれたら一番なのですけどねぇ。ニコンさんは参加してくれそう、オリンパスさんは別会社になっちゃったから無理かも、キャノンさんは絶対無い、パナソニックさんは電気屋さんだから無し、ソニーさんは元コニカミノルタだけど無理でしょうなぁ。ってやっぱ無理か。(笑)
動画の締めくくりは「ペンタックス、ペンタックス、フィルムだよ。」って終わり方。「ペンタックス、ペンタックス、望遠だよ、ワイドだよ。」って昭和40年頃やってたペンタックスのテレビCMの言い回しを真似てましたな、これ60代以上の年配の方しか知らんやろな〜。(笑)

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2022年8月25日 (木)

フィルム高いって言うのは、オジサンだから。(笑)

フィルムの値段の高さに音を上げて、もう買えない、フィルムカメラは飾っておくしかないなんて弱音を吐いておりますが、若い方のブログを見ていますと、フィルム楽しい、もっとフィルムで撮りたいなんてのがいっぱい出てきます。
こんなに高いのに、なんでこれだけフィルムファンが居るのかって思ったのですけど、酒場で出会った写真好きの若い方と話していて、今時のフィルムファン事情と言いますか、フィルムに対する感覚的なものが見えてきました。
どうやら最近フィルム写真に目覚めた若い世代にとって、今のフィルムの値段がスタートラインなので、フィルムで撮るのって、普通にこれぐらいお金がかかるものという認識で楽しんでいるということだそうです。

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安くはないけど高くて手が出ないってほどの感覚でもないみたい。音楽CD買うか写ルンです買って楽しむかどっちにしようかって感覚みたい。しかもフィルムは現像できるまで分からない楽しみや、手元にフィルムが残るところがイイそうで、そういうデジタルには無かったルールや作法にプラスして、フィルムならではの写り具合まで含めると十分楽しむ価値があるモノゴトらしいですな。
チャンスが有ればどこかのタイミングで手を出してみたいトレンドって感じなのでしょうか。なのでオジサンのレガシーな常識崩壊中、なんだか昭和レトロな喫茶店にクリームソーダやプリンアラモードを食べに行くのと同じ感覚ってことなのね。(笑)
フィルム全盛期を知ってると言いますか、お買得パックはフィルム1本余分に入ってたとか、ダイソーでネガフィルム100円で売ってたとか、同時プリント0円なんて時代を知ってるオジサンは、もはやいつの時代の人っていうかカメラ原始人。
あの頃を知ってるから「高い高い」って嘆いているだけだったという。「高い高い」してもらって喜ぶのは赤ちゃんか小さな子供だけですからねぇ。「クジラの肉は昔は安かったのにエライ出世や」とか「外でラーメン食ったら高いなぁ」なんてのと同じレベルで文句言ってるだけの人。(笑)
関西人だからでしょうかお金に関することが絡むと敏感なのもあるかもしれませんけど、なんだか高い高いばかり言ってるとみっともないですな、飲むの減らしてフィルムで撮れよってお叱りが飛んできそう。
そもそもフィルムって買う時にお店に行き、撮ったら現像に出しにお店に行き、仕上がりを受け取りにまたお店に行くという、全プロセスを完了するまでに3回もお店に行くわけですから、写真屋さんと酒場がコラボしてくれれば、頻繁に出入りすると思うのですけどねぇ。
酔った勢いで「Velvia10本!」なんてフィルム買っちゃうかもしれませんし、オジサンもお酒の力を借りてもっとフィルムで撮るかもしれません。でもやっぱりフィルム高くなったなぁ。(笑)

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2022年7月24日 (日)

現像できなきゃフィルムもおしまい。

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リバーサルフィルムの値段をヨドバシで調べたら、大好きなフジクロームVelviaの、35mmサイズ36枚撮り1本が約2,000円、オジサンの立ち飲み1回分よりも、お高い値段になってしまいました。
反対に容量あたりの価格が安くなった、デジタルカメラ用のSDカードの値段を調べたところ、同じ2,000円で64GBが買えてお釣りが来ます。動画を撮らないオジサンはスピードの速いカードじゃなくていいのでモノによっては128GBも買えるのがありますな。(原稿執筆時)
さらにRAWは全然、もうJPGでしか撮らないので64GBのカードだと4000枚を少し超えるぐらい撮れます、フィルムに換算すると約115本分がこのカード1枚で撮れるという衝撃の事実に愕然としますな。ネガフィルムだとどうなるのか、もはや計算する気にもなりませんよ。何れにせよさらに現像代がかかってくるわけで、やはりフィルムはどんどん手の届かないところへ遠ざかって行きつつあるなと言わざるをえない状況かと。
輪をかけてフィルム現像で有名な「なら写真くらぶ 写真現像屋」さんのお知らせに「経年劣化した現像機をどうして維持継続して行くかが、大きな課題です。」と出ています。メイン部品の代替えはなく、消耗品も高騰、新しい現像機は販売されていないそうで、フィルムを売り続けてくれても現像が出来ないとなると手も足も出ません。
富士フィルム系列の、プロラボクリエイトの大阪営業所が無くなって東京だけになってから、関西でリバーサルフィルム現像が出来るのは、なら写真くらぶさんだけなので、ここに唯一残る現像機が壊れたらそこで終わり、若い人にフィルムが流行っていると言っても、ほとんどがカラーネガフィルムですからねぇ、リバーサルフィルムはもはや綱渡りですよ。
ネットで調べてみたところ、街中の写真屋さんでよく見かけた現像機メーカーのノーリツさんは、数年前に写真処理機器事業は譲渡しちゃってもうやってませんし、富士フィルムさんを調べてもリバーサルフィルムの現像機は出てこなくて、ネガフィルムの現像機だけ。ショッピングモールで見かける大手カメラチェーン店などに置いてあるやつがそうなのでしょうな。
だけどリバーサルフィルムを作ってる富士フィルムさんが、その現像機を作ってないってことは、リバーサルフィルムはもう終焉なのかもって思いますと言うか、そろそろ覚悟をしておかなくてはならないのかと。
今年の大幅な値上げで買えなくなった方は、オジサンも含めてたくさんいるでしょうから、さらに売れなくなって、半年後か1年後か分かりませんがまた値上げ、ますます売れなくなって、環境負荷などのケミカル問題もあって、長らくの販売に終止符ってシナリオが目に浮かぶのはオジサンだけでしょうか。
ま、若いフィルムファンの方に今の内に1度ぐらいリバーサルフィルムを楽しんでおいてねと言っておきましょう、あなた達がオジサンオバサンになる頃にはもう無くなってるかもしれませんからね。

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2022年5月26日 (木)

フィルム現像はプロラボだった頃。

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フィルムカメラが主流だった頃は、どのフィルムで撮るかってのはとても大事でしたし悩みどころでもありましたな。フィルムそれぞれに個性がありましたし、若い頃はお金が無かったのでお財布事情も考えないといけないわけで、昼飯食うかフィルム買うかって切実な問題もちょいちょいありましたよ。(笑)
さらにどこでも買えるってのも大事でした。フジ、コダック、コニカ(旧サクラ)のカラーネガフィルムは、土産物屋さんなど写真屋さんじゃなくても売ってましたね。
商店街の中にあるちょっと立派な写真&カメラ屋さん、オジサンと同じ世代の神戸っ子ならご存知のコヤマカメラやヒラマツカメラね。(笑)
ま、そういう大きなお店に行くと、リバーサルフィルムやモノクロフィルムも揃ってましたし、アグファやイルフォードなど海外フィルムも売ってました。
オジサンはリバーサルフィルムファンなので最短2時間で仕上げてくれるし、朝の通勤時にポストに放り込めば昼休みに取りに行けた富士フィルム系プロラボ「クリエイト」によく行ってたのですけど、フィルムの特徴を知ってもらうためのPR用小冊子やパンフレット類が片隅のスタンドに置いてありましたよ。
モノクロフィルムは自家現像する方のために詳細な現像用データシートが置いてあったり、リバーサルフィルムの銘柄ごとの特性や傾向などをまとめたもの、フィルターワークのガイドブックもあったなぁ。いっぱい貰ってたのに捨てずに置いときゃよかった。(笑)
プロラボならではだったのが、化粧品やブランド衣料の商品撮影など、仕上がりの色にシビアな撮影ををしているカメラマンのために、エマルジョン情報というフィルムのロット(乳剤番号)による色の偏りや露出の補正データシートが配布、掲示してあったこと。
「+0.5M」なんて書いてありましたな。マゼンタ(赤系)のフィルターでちょい補正してねってこと。
そんな普通の写真屋さんでは出回らない情報が得られるのがプロラボの良さ、フィルム新製品の発売情報も速かった記憶があります、キャンペーンもね。
プロカメラマンって意外と保守的で曲げない、コレって決めたフィルム銘柄をそうそう簡単には変えないのですな。なので新製品にすぐに飛び付いたりしません、何本もテストしてから小さな仕事で投入。ルーチンワーク的にずっと継続している仕事には使いませんな、以前撮ったのと色味やテイストが変わると大問題ですからね。
なのでそんなカメラマンに使ってもらうためのプロモーションと言いますか、イチオシ新製品はプロラボでも気合が入ってました、発売記念キャンペーン価格だとかグッズが貰えるなんてのもありましたなぁ。
ダーマトのシャープペン貰いましたよ。ダーマトってもう通じないか、仕上がりフィルムのOKカットに印を付けたりトリミング範囲を書き込むための「ダーマトグラフ」ってワックスで出来た色鉛筆、クレヨンみたいなののもっと細いやつね。スタジオでは必需品だったのでプロラボならではのグッズでしたなぁ。
かつては大きな都市にはちゃんとあったプロラボ。「クリエイト」は東京だけ「堀内カラー」は東京と大阪だけになって、もう懐かしい思い出になってしまいましたな。

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2022年4月24日 (日)

フィルムは、遠くに在りて写せない。

4月7日にアップした「小さな希望と大きな絶望が、フィルムカメラに。」って記事に頂いたコメントの中に、KMやKRって懐かしの言葉がありましてですね。
これリバーサルフィルムの略号なのですけど、もはやこういう言葉すら知らない世代が、今フィルムを楽しんでいるのが現実。ココはひとつ「今時の若いモンが知らん」フィルム話を書いてやろうかと思ったのですな。

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で、先ほどの略号ですけどね、KMはコダックのコダクロームISO感度25、KRはISO感度64のフィルムを表してます、そのプロフェッショナルタイプはPKM、PKRと呼ばれてました。
当時リバーサルフィルムには色素を構成するカプラーと呼ばれるものが乳剤に含まれる内式と、発色現像時に注入する外式の2種類あって、コダクロームは外式。
粒子が細かく解像度が高い、耐候性が高く変色しにくいという特徴がありましたけど、現像工程が複雑で時間がかかったのですな。地方だとプロラボに出してもその日に仕上がらない、対して内式フィルムは2時間で仕上がりましたからね。
それでもファンが多かったのはシャドーの締り、深みのある空の青色など、渋くて重厚で
独特な色調が魅力的だったから。外国製フィルムの色合いと言いましょうか。

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内式フィルムのエクタクローム64(EPR)にせよコダックの色調って総じてこの傾向、こってりと塗り重ねて描かれた油絵の雰囲気だなって思いました、対して富士フィルムさんは日本画の感じ。
どっちが良い悪いじゃなくて好みの世界、あの頃まだ若造だったオジサンは色々なリバーサルフィルムを使いましたけど、ある時エクタクロームでの撮影で大失敗。
夕暮れ時で色かぶりは予測して撮ったのに、同じ露出で撮ったフジクローム 100 プロフェッショナル(RDP)よりもガッツリ色かぶり、ガールフレンドのポートレイトは褐色の肌色を通り越して、カレー色の顔で全滅、若かったというかバカだったというか。(笑)
以来フジクロームばかり使うようになって1990年の
Velvia(RVP)発売以降はこればっかり、夜の撮影や目測式のクラシックカメラにはPROVIA 100(RDPⅡ)を使ってました。

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そういえばコニカミノルタのSINBI 100 プロフェッショナル(SRP)も使った覚えがあるのですけど印象が薄いですなぁ。ミノルタと一緒になる前はコニカ、それより前はサクラカラーって言ってたなんて、若いもんは知らんでしょうな。(笑)
リバーサルフィルムって主要銘柄はたいてい、一般タイプとプロフェッショナルタイプが発売されていたのですけど、プロじゃないと買えないとかじゃなくて、フィルムベースが印刷物向けだったり、乳剤の管理がより厳密だったりしたのですな。
コマーシャルフォトの世界では色再現って超重要、同じ乳剤番号のフィルムを買い込んだり、現像はプロラボの現像液が安定する火曜日にしか出さないなんてカメラマンもいましたなぁ。(笑)

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フィルム時代の懐かし話を語り始めたらキリがありません、だけどそのフィルムがどんどん遠ざかってます、なにしろリバーサルフィルムの絶望的値上がりに音を上げるどころか、息の根を止められた感のあるオジサン、なのでリバーサルフィルムは富士フィルムさんのミラーレス機のフィルムシミュレーションの中。
これの出来がすごく良いので不満はありませんし、楽しんでおりますけど、やはりデジタルは質量の無いデータ、手に持ってライトボックスの上で鑑賞するなんてできませんからね。

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2022年4月 7日 (木)

小さな希望と大きな絶望が、フィルムカメラに。(泣)

3月22日のデジカメ系ニュースサイトで「コダックが、中判カメラ用の新しい120フィルムの5本入パック、Kodak Gold 200フィルムを再発売、価格はPortraやEktarよりも25%安価になる。」ってニュースを見ました。
コダックは高いので安価と言われても、実際どれぐらい安くなるのか分かりませんけど、昨年富士フィルムのPRO400HとPRO160NSが生産終了になって、カラーネガフィルムの選択肢が減っていたところなので、二眼レフのローライフレックスなど中判カメラを使っているフィルムファンにとっては朗報かと、良かった良かった。
で終わるわけが無さそうなのは、このブログをいつも見てくださる方なら想定範囲内かと。(笑)良いニュースはこれひとつだけでしたな。数日後の3月25日に「富士フイルム写真関連製品 一部価格改定のお知らせ」って値上げのニュースリリースがありました。
4月1日からフィルムが20~60%値上げ、5月1日からカラー写真印画紙が10~20%、処理薬品が約10%値上げ、6月1日からプロラボ製品やプリント製品・サービスが8~94%値上げだそうです。
フィルムの値上がりは痛いですけど、製造終了と値上げならどっちって言われれば値上げですとしか言えません、フィルム無くなればデジカメ以前のカメラは全て終了でただの飾りになっちゃいます、高かろうがすがり付くしか無いわけで。
特にリバーサルフィルムファンのオジサンは富士フィルムさんのVelvia、PROVIAが命綱なわけで。それだけじゃなくて薬品やサービスも値上げですから、当然現像料も値上がりするでしょうし、お先真っ暗感しかないという。
で、笑えない話がもうひとつ、3月21日から26日にかけて、水銀に関する「水俣条約」の第4回締約国会議が開催されたそうですな。ここで2025年までに水銀を含む製品などが段階的に廃止されることが決定したそうで、その中に一部の写真フィルムって出てました。水銀や水銀由来の物質を使っているフィルムってのが現行品ではどれなのかは、調べが付かなくて分からないので戦々恐々。
ケミカルな写真ってこの先、環境負荷などのリスクでどんどん追い詰められるのかもしれません。もはや製造されてないフィルムカメラのために、フィルムの新製品が出たり、生産が増えたりするはずも無いですし、急に終りが見えてしまうかもしれませんな。
で、記事を書いてる最中に値上がりしてました、ヨドバシの価格がエライことになってます。Velvia50、PROVIA100Fの120サイズ5本パックは5,000円台だったはずなのに9,000円台になってます。あまりの大幅値上げに音を上げましたよ。とてもじゃないけど買えませんがな。ただの悲報じゃないですな絶望ですよ、どうしましょ。
もうね極力デジタルなフィルムシミュレーションでリバーサルテイストを楽しんで、フィルムの出番を抑えるしかないですな。
えっお酒を控えてフィルム買えって?もし出来てたらとうの昔にやってますよ。(泣)

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2021年12月19日 (日)

デジカメ買えるまで、フィルムカメラはいかが。

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少し前に「フィルムが遠ざかっていく」って記事を書きました。その後またニュースがあって、富士フィルムさんが「フジカラー 100 24枚撮」と「フジカラー SUPERIA PREMIUM 400 27枚撮」の販売を終了して、どちらも36枚撮りのみにすると発表がありました。最初見たときドキッとしましたな「えっ終了?」って思いましたからね。
36枚撮りに統一されるだけなので、終了じゃないって分かってホッとしましたけど、富士フィルムさんのサイトに出ているお知らせを見ると「生産効率の向上や経費節減など懸命なコスト吸収につとめて生産してまいりましたが、カラーネガフィルムの継続的な安定供給の為、今回販売を終了することになりました。」って出てました。
撮影枚数違いってことは、長さの違うフィルムを作り分けなくてはいけないわけで、それだけで手間でしょうし、他のフィルムに合わせて36枚撮りに統一すれば、そこのコストを減らせるって判断だと思います。
ただ文面見るともうギリギリでフィルムを作ってくれてる感が伝わってきますな。儲けはすでに出てない事業だけど、写真文化への貢献のため、撤退するわけにも行かないジレンマといいましょうか、板挟み感がヒシヒシと伝わってきます。需要と供給じゃなくて、消費量と製造コストのバランスがすでに成り立ってない。
で、今や写真はデジタルに移行してしまっているわけですけど、そのデジカメが半導体不足で作れなくなってます。影響は想定以上に深刻だそうで、メーカー各社供給不足や受注停止のお知らせをアナウンスしていることからも分かりますな。
特に新型カメラは予約しても納期未定が当たり前になってます。大手量販店でも入荷未定や品切れ中になっているというのをニュースで見ましたし。
欲しいのに買えねぇ〜ってブチブチ文句を言っててもどうにもならないので、供給不足が解消するまで、フィルムカメラに手を染めてみるってのはいかがでしょうか。
フィルムカメラはスゴク安くなってますしね、中古カメラサイトの「CAMERA fan」「J-カメラ」で1万円を上限に検索してみると結構出てきますな。オジサンが欲しくなってしましましたよ。(笑)
そんなフィルムカメラの中でも、半導体も使ってなければ、電池も必要ないような完全メカニカルなオールドカメラを選ぶってのも渋くて面白いかもしれません。デザイン重視で見た目のカッコ良さで選ぶのもありかと。
正直言って今がフィルムカメラを楽しめる最後のチャンスなのかもって思いがあります。まだ値上がりするでしょうし、種類が減ったり、作り続けてくれるかどうかも不安材料ですからね。
将来フィルムはインスタントカメラのチェキだけになるのかもしれません。そうなったらフィルムカメラは全滅、飾っておくだけのアンティークになってしまいます。そうなる前にフィルムで写真を撮ってみるのはいかがでしょう。

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