キヤノンT90とあの頃の思い出。
物置から出てきた何冊かのCAPA誌の中に1986年3月号がありました。なぜこの号を残しておいたのか最初分からなかったのですけど、眺めていて気が付きましたよ。オジサンが一番良く使っていた一眼レフカメラ「キヤノンT90」の特集号だったから。
きっと購入前の参考にしたのでしょうなぁ。当時の撮影日誌を見てみると1986年5月22日にT90でテスト撮影って書いてありましたから間違いないかと。表紙は松本典子さんってアイドルですけどもう誰も知らないか。(笑)
当時T90はオートフォーカス以外全部入ってるって言われたぐらい高性能で、ルイジ・コラーニによる曲面を多用したボディーデザインや、電子ダイヤルによる操作など画期的だったので、本来ならもっと話題になるべきカメラだったのだと思います。
ところがどっこい前年の1985年2月に登場したのが世界初のオートフォーカス一眼レフシステム「ミノルタα7000」。
全ての交換レンズがオートフォーカスでピント合わせできるという、世界初のシステムAF一眼レフでした。ボディ側からレンズをコントロールするというのが画期的で大ヒットカメラに。当然業界にも激震、世に言う「αショック」ってやつですな。
その頃は「ま、オートフォーカスも研究しとかないとね」ぐらいの感じだったと思います。そこに寝耳に水のα7000登場、一眼レフがオートフォーカス時代に突入するきっかけになったカメラでしたな。慌てキヤノンさんもT80という、専用レンズにモーター内蔵して無理やりオートフォーカスにしたカメラを出しましたけど、α7000の完成度に遠く及ばず消えました。
その後に発表になったのがT90。オートフォーカス以外は全部入りって言われても、開発に携わった方々にはきっと褒め言葉に聞こえなかったでしょうなぁ。その頃一番のトレンドだったオートフォーカスが入ってませんでしたからねぇ。
翌年の1987年にそれまでのFDレンズマウントを捨て去って、新しくオートフォーカスのEOSシステムが登場することから、よほど悔しくて一気に開発したのは間違いないかと。(笑)
おかげでさほどパッとしなかったTシリーズの最後を飾るカメラとして登場したT90は、オートフォーカスなんて要らないユーザーには最高のカメラでしたよ。当時のフラッグシップ機NewF-1とお値段が変わらなかったところもある意味最高でしたな。(笑)
オジサンはこのT90を使い出してすっかり気に入ってしまい、後にもう1台追加購入して2台体制。同じカメラを2台持つって何かと便利だったのですな。なのでEOSに乗り換えた時も、EOS-1Nを2台体制で使ってましたよ、まだ独身でしたしねぇ。(笑)
T90はグリップの下の所にリモート撮影用のケーブルレリーズをつける接点があるのですけど、ここにねじ込んで使う縦位置レリーズボタンというアクセサリーがありました。一般には出回っておらず、キヤノンサービス窓口でのみ販売されていたシロモノ。見た目は取って付けたような出っぱったボタンですけど便利でね、おかげで縦位置撮影が増えましたよ。
CAPAの記事がきっかけで色々思い出しました。久々に防湿庫から引っ張り出してきて、電池を入れシャッターを切ってみましたけど、懐かしくていい音してますなぁ、ほんとオートフォーカス以外は全部入ってる。(笑)
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