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2024年7月21日 (日)

湯気の向こうに技術が見える。(笑)

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料理の撮影で求められるのが「シズル感」ってやつ。日本語っぽいですけど実は英語で「sizzle」。
辞書には食材が焼けるときのジュージューという音などって説明が出てますが、調理撮影の世界では食欲をそそるとか、思わず食べたくなるたまらん感じを指すので、ハンバーグを割って肉汁ジュワ~とか、キンキンに冷えたグラスの水滴だとか、鍋物の湯気モワ〜ンなんてのもシズル感のひとつ。
その湯気ですけどドライアイスを使ったり、アイロンのスチーマーや加湿器にホースを付けて改造したり、いろいろな技がフィルム時代からあったのですな。
その後デジタルになって撮ったその場で確認できるのでとってもスムーズになりましたと言いたいところですけどね、現実はその逆だったわけで。
立ち会いに来られた客先のご担当者様もその場で確認するので、周り全員がOKでもその方が「う~ん」って言ったら撮り直し。
湯気はこちらの思い通りに上がりませんから、OK出るまで撮らされるので終りが見えない、カット数はどんどん増える、かと言ってその分を請求できないというジレンマ。
ただでさえデジタルになって撮影単価が低くなっているのに労力だけ増えて儲けに繋がらないのですな。で、その救世主がフォトショップの画像処理でした。
別撮りしてある湯気の写真と合成するのですけど、どんな湯気でも自由自在に加工でき後から足せますから、極端な話冷めた状態で撮っても「湯気は画像処理で足しときますんで」でOK、おかげでずいぶんスムーズになりましたよ。
今回その湯気のストック写真を実家スタジオで撮ってみました。ネットのフリー素材でもいいのですけど、自分用にオリジナルで撮っておこうかと、料理写真に使えますからね。

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合成用素材写真なのでバックは黒、近江ベルベットの「ハイミロン」って漆黒の布を吊るして背景に。
背景がライトの影響を受けないように、70〜80cmぐらい間隔を開けた手前に撮影台、その上にカセットコンロとフライパンをセット。フライパンを使うのは底面積が広いほうが湯気ボウボウになりやすいから。
ライトはデュフューザー越しにストロボを左やや後ろから当てて半逆光ぐらいに。その手前にカメラ、ピントはフライパンの手前1/3のところに合わせて固定。
カメラのストロボ同調速度を考えてシャッターは1/125秒に、遅いと動く湯気がブレるのよ。絞りはF8〜11になるように光量を決めるのですけど、クリップオンストロボ2灯でも弱いので感度を上げて対応しました。とはいえ黒バックは高感度でノイズが出やすいのでISO800で。
さらに湯気がよく分かるようにエアコンで室温を目一杯下げておきます。撮影準備ができたらお湯を沸かしてスタート。
湯気の出方を見なくてはなりませんから雨戸は閉めましたが室内光は付けたまま、ストロボ撮影ですから影響を受けにくいですし、黒バックに湯気なのでほぼモノトーンですから大丈夫。
グラグラ沸いてきたら火を止めエアコンも切ります、火が付いたままだと湯気ってすぐ消えるし見えないので必ず火を止め、その瞬間からボウボウと上がるのをパシャパシャ撮っていくのですな。湯気の出が悪くなったらまた沸かして撮るを繰り返し。
湯気ってこちらの望み通りには上がってくれませんから、多めに撮っておいて良いのだけ残すわけで。

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お店でipadで撮った写真に合成してみたらこんな感じになります。分かりやすくするためやや過剰に湯気ボウボウにしてみました、湯気があるだけでずいぶん美味しそうに見えるのがお分かり頂けたかと。
合成手順は書きません、難易度が高くないですし「Photoshop 湯気 合成」で検索したら、やり方がたくさん出てきますから調べてみてください。

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