白黒(モノクロ)写真なのに何でカラーフィルター?
フィルムの時代、白黒写真にはフィルターが欠かせませんでした。実は無くても問題なく写真は撮れるのですけど、白黒写真はカラー写真のような色彩が無く、白から黒までの濃淡のみで表現するので、コントラストや濃度をフィルターでコントロール、撮影意図や主題をより明確にしていたわけですな。
で、そのフィルターはレッド、オレンジ、イエロー、グリーンの4種類あります。色付きのフィルターを付けたら白黒がカラーになると思ったら大間違い、特定の波長をカットするための色が付いたフィルターなので、レッドフィルターを付けたからといって白黒写真が赤くなったりはしません。(笑)
分かりやすい例で学生さんが勉強によく使っている、暗記用の赤い下敷きと緑色や青色のマーカーペンのセットを思い浮かべてもらえればと。マーカーしたところに赤い下敷きを乗せると、黒くつぶれて見えなくなるアレですな。だけどマーカーしていないところはちゃんと読めます。
白黒写真用のフィルターも同じことで、赤いフィルターをレンズにつけて青空や緑の木々を撮ると見た目よりも黒っぽく濃く写ります。だけど郵便ポストなど同じ赤色のものを撮ると明るく白っぽく写ります。
なので風景などを撮る際にはレッド、オレンジ、イエローのフィルターを使い分けてました、フィルターの付け外しが面倒でしたけどね。(笑)ほんの少しコントラストを上げるイエローフィルターはオジサン常用と言いますか、当時白黒撮影の必需品でしたな。
反対に使わなかったのがポートレイト用のグリーンフィルター、赤っぽいものが落ち着いた写りになるので肌の赤味や唇の色に効果があります、だけど撮る相手が居なかったのでねぇ。(笑)グリーンですから略すと「G」なのですけど、ポートレイト用なので「PO」って明記してありましたな。
で、デジタルカメラで白黒撮影をする際にはこのフィルター設定を選べるようになっています。オジサンの使っている富士フィルムさんのデジタルカメラの場合、フィルター無し、レッド(R)、イエロー(Ye)、グリーン(G)の4種類が設定できます。
実際に色の出方がどんなふうになるのか、色合いのハッキリしたものをカラーと白黒、各フィルターで撮ったものが下の写真です。
見ての通りレッドとグリーンのフィルターで色が濃くなる部分が正反対なのが分かります。レッドフィルターは青や緑が濃く赤と黄が明るく写るのに対し、グリーンフィルターは赤や黄が濃く青や緑が明るい。こんなに両極端な別物写真になったらフィルターって余計なのではって思うかもしれませんが、画面左下の絵葉書の袋を見ていただければ分かるように、カラーだと青地に赤い「神戸」の文字が白黒のフィルター無しではどちらも似たようなグレーになって識別しにくくなってます。
もっと分かりやすい例がありました、下の児童用遊具の写真ですけど、赤、青、緑が白黒のフィルター無しだとほぼ同じグレーなのがお分かりかと。
カラーではハッキリ色の違うものが白黒になった時、コントラストや濃度が似かよって同じグレーに写るのですな。これじゃ何を撮ったのか分かりませんからね、こうならないためにフィルターを使うわけで。デジタルだとフィルター付け外しの手間が無いので手軽に試せます、興味のある方はぜひ試してみてください。
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