撮影スタイルと値段が変わっていった頃。
まだフィルムで撮っていた時代、オジサンはスタジオに撮影を発注する側でした。デザインした広告の紙面に合わせて商品撮影や調理などのイメージ撮影を依頼していたわけですけど、撮ってもらった写真の内訳は担当営業へ報告するのですな。
点数が多かったり、請求金額の高い凝った撮影が含まれてると文句言われましたよ。(笑)全体の受注金額に対して、撮影費が飛び抜けると利益が圧迫されますからね。
お中元やお歳暮のカタログ用撮影なんて、量が多く質も高いのですごい金額支払ってましたな。カメラマンってホント儲かるんやなぁってその時は思ってました。どの方も羽振り良かったですし、外車に乗ってましたしね、ボルボが多かったですな、ステーションワゴンとかいう奴ですかね、カメラマンがみんな乗ってるとか言われてたクルマ。(笑)
勤めていた会社が後に自社スタジオを設立して、外注していた撮影を内製化したのはその辺りの儲けを取り込みたいって事情もあったと思います。
ところがカメラマンは儲かる華やかなイメージの仕事だったのは、インターネットとデジタル一眼レフの普及で崩れましたな。
撮影技術よりもPhotoshopで仕上げられる人が重宝されるようになったと言いますか、デジタルや画像処理に明るいカメラマンじゃないと仕事がもらえなくなっていきました。その頃はAdobeのセミナーに行くと背水の陣で来ているカメラマンを何人も見かけましたよ。(笑)
デジタルになって撮影の様子も変わりました、写真は取り回しが楽で便利な「データ」になりましたから、立ち会い撮影でも、フィルム時代のように現像が上がるまで、どう撮れてるか分からないなんてことが無くなり、セットを組んでいるその目の前で、お客様が確認できるわけですから、職人技の撮影技術よりその場での対応力が求められるようになりました。
角度や高さを変えたのも撮っといてって言われるのは当たり前。バリエーション撮影ばかり増えて、フィルム・現像代がかからなくなったとはいえ、撮影単価は確実に下がりました。ネット掲載用は無料サービスだったり、紙の広告物用に撮った写真をホームページで使われても請求できないのが普通でしたしね。
今時の撮影料金って一体どれぐらいなのでしょうか。撮りっぱなしの写真を納品するなんてことはまず有り得ないでしょうから、撮った後に画像処理は付いて回るとして、そのスキルやかかる時間を含めて考えると、それに見合う撮影料金を頂けているのかなって思いますな。
カメラマンマッチングサービスの撮影料金を見ても、副業だからやれるでしょうけど、本業だとしたら相当な数をこなさないと食べていけないなってお値段だったりします。
AI等の技術であり得ない写真が作れる時代、この先カメラマンって職業はどうなるのでしょうか。
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コメント
久しぶりに書き込みます。(2年ぶり?)
確かにデジタルになってから仕事が悪い意味で「軽くなった」気がします。
ポジフイルムをスキャンして、モニタで調整していた頃から雲泥の差です。
ポジなら腰があったので、調整も無理が利きましたが、初期のデジカメではすぐ破綻していました。
今はそんなことはありませんが、プロカメラマンも酷い時代を迎えているのかな…とボンヤリと思います。
投稿: Ruby2020 | 2023年4月15日 (土) 21時38分
Ruby2020様、こんにちは、お久しぶりです。
デジタルカメラの進化で、今どきは写真の知識が無くても、それなりの写真が撮れてしまいます。おかげで誰でもフォトグラファーを名乗れる時代になってますね。その分値打ちや重みが確かに無くなりましたねぇ。(笑)
投稿: よもかめ亭主 | 2023年4月16日 (日) 12時21分