社史を眺めて、時代の空気を味わう。
蔵書というほど立派なものではないのですけど、段ボール箱にしまい込んでいた、たくさんの本の中から何冊か社史が出てきました。若い頃、好きで集めていた古いもの、特に昔のパッケージ類の詳細を調べるのに格好の資料だったのですな。
出てきたのは「明治製菓株式会社二十年史 1936年(昭和11年)」「大日本麦酒株式会社三十年史 1936年(昭和11年)」「森永五十五年史 1954年(昭和29年)」「味の素の50年 1960年(昭和35年)」「津村順天堂七十年史 1964年(昭和39年)」「サントリー70年史 やってみなはれ・みとくんなはれ 1969年(昭和44年)」「資生堂百年史 1972年(昭和47年)」。
すべての本に言えることなのですけど、社史ってのは会社の景気が良くて、さらなる発展や躍進をするぞって時にしか作りませんから実に豪華でお金もかかってます。
いずれも非売品で社員や取引先、株主に配られたものでしょうね。なので発行部数が少なく、その分豪華に作れたのでしょうな。クロス張り表紙に背文字は金箔押しで函入りなんてのが当たり前、立派な本なので風格を感じます。
中身はほぼどれも同じで社長と役員の写真、工場や営業所、販売店の一覧と写真、建物の前で全員揃って写ってる集合写真なんてのね。更に製品の写真や当時の広告などを織り交ぜながら創業から今日までをまとめてあるという作り。
正直言って読んでて楽しい読み物ではありませんが「サントリー70年史」だけは別物。2冊セットになっていて「やってみなはれ」が歴史編、「みとくんなはれ」が資料編になっていて、歴史編の戦前編が山口瞳氏、戦後編が開高健氏という豪華執筆陣、お二方は元サントリーの社員でしたから実現出来たのかと。現在新潮文庫になって出ています。興味のある方はどうぞ。(笑)
どの社史もその会社の目を通した当時の様子が浮かび上がるのですけど、「大日本麦酒株式会社三十年史」も凄いですよ、明治39年に日本麦酒(ヱビス)、札幌麦酒(サッポロ)、大阪麦酒(アサヒ)が一緒になって大日本麦酒株式会社を創立、元取締役の写真に渋沢栄一氏が載ってます、来年から流通する一万円札の顔の方ね。
この会社、戦後(昭和24年)に解体され日本麦酒(現サッポロ)とアサヒに分割、同じ会社だった時期があったのが面白いなと。
「森永五十五年史」も実に豪華な500ページ超えの大型本、当時の勢いを感じます。ところがこの本が出た次の年に「森永ヒ素ミルク中毒事件」が起こって会社がエライことになるのですな。当時事件に対する企業態度が反感を買って不買運動が起こり企業イメージとシェアを大きく落としたそうです。
社史だけど上品でお洒落な本なのが「資生堂百年史」。化粧品の会社ですから当然ですが、図版や商品写真が多くて実にいい資料でしたよ。ところが古本屋になかなか出てこなくてね、古本市の図録に登場しても高くて手が出ませんでしたなぁ。(笑)
ま、古本屋も通い詰めてると何とかなるもので、見つかりましたけど、今ならネットですぐに探せるのでしょうなぁ。資料価値以外何もないのが社史ですけど、こういう本の世界もあるってことで紹介いたしました。(笑)
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