ネットなんて無かった頃の古いもの調査って。(笑)
若い頃古いものが好きで集めてたことを何度か書きました。特に昔のパッケージ類が好きで、探すのも集めるのも楽しかったですよ。昔から長く続く企業は歴史がありますから、明治・大正・昭和のそれぞれの時代を感じるパッケージってカッコイイものが多かったのですな。
見つけてきたパッケージが一体いつの時代のものなのかを調べるのに、まだインターネットは無かったですから文献に頼るしかなく、古本屋で資料になりそうな本を探してました。
だけどそういう本ってなかなか無くて、元々発行部数が少ないのでお高い、でも買い逃すとお目にかかれないので、見つけたら無理してでも買ってましたよ。
掲載写真は「日本の広告美術 : 明治・大正・昭和」って函入の立派な本、東京アートディレクターズクラブ編・美術出版社・1967年刊で、1がポスター・2が新聞広告雑誌広告・3がパッケージという3冊揃。1冊5,800円の高価な本がさらに値打ちが出て高かったなぁ。(笑)で、古いパッケージのデザインの傾向などを、この本で調べて年代を解明してました。
上の写真は古い石鹸缶と第3巻の誌面、缶の左下に「NAGASE FACTORY」の文字が見えるのでこれは後の「花王石鹸」。創業者の名前が長瀬富郎なので「NAGASE SOAP」や「N.S.&Co」なんて表記も当時ありました。
面白いことにSAVON(石鹸)の文字があるのに商品名は「PATE d’ AMANDE」って砂糖とアーモンドを練ったフランスのお菓子の名前なのですな、きっと石鹸の見た目がこのお菓子に似ていたので商品名にしたのでしょうね。
全体のデザインはもろにアールヌーボー様式なので1900年〜1920年頃、明治時代の後半から大正時代初め頃のモノではないかと推測するわけで。
もう一つが仁丹の容器。仁丹掲載ページに手持ちの古い金属製容器をいくつか並べて撮ってみました。これは大正時代から昭和の初め頃ではないかと。昭和に入ると金属だけでなくセルロイド素材の容器が、戦後はプラ素材のものが主流になっていったのでそう推測するのですけどね、上の楕円形の容器の裏には「陸海両軍医総監証明 三輪井上両博士方剤 大阪市 森下博」って書いてあります。(笑)
で、手がかりが少ない中、役立つ資料って実は社史でした「〇〇株式会社50年史」なんてやつね。だけど社員や株主などに配られ一般に流通してない非売品なのですな。
でもそのジャンルに強くて得意な古本屋さんってのが世の中にはちゃ〜んとあります。(笑)なので何軒かあった社史の品ぞろえが良い古本屋さんにはよく出入りしてましたよ。
ある時探していた本を見つけたもののお金が無くて「給料日まで取り置きお願いできますかっ」って聞いたら、笑いながらマケてくれた店主さんもいましたなぁ。よほど必死な顔してたのでしょうね。(笑)
そうそう大倉山の中央図書館には昔の新聞のマイクロフィルムをよく閲覧しに行ってました。探していたのは当時の広告、そこから古いパッケージがいつ頃発売されたのか割り出すという。今思えば気が遠くなるような地道な作業でしたけど、若かったから出来たのでしょうなぁ。何度も通って顔を覚えられましたよ。(笑)
でもそんな苦労は昔話、今はインターネットでいとも簡単。試しにどれぐらい調べが付くのかやってみたところヒットしなかったものは皆無、内容はともあれ何かは出て来ましたな。まず現存の会社は沿革などが、立派な社史やミュージアムを用意してくれているところも。
博物館・美術館の収蔵品、個人や企業・団体などの私設博物館もヒット。アンティックショップのSNS、個人コレクターのブログやオークションなどなど。思った以上にたくさん出てきましたよ、ネット恐るべしと言いますかホント楽ちん。
だけどあの頃調べることに一生懸命だった情熱は、今でも無駄だとは思っていませんよ。(笑)
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