画像処理って本当に写真を良くしてるの?
フィルムを知らない、使ったことがない、見たことがない人の方が多くなってるご時世。知らないのですから、フィルム時代のしきたりなんてものも通用するわけもなく、その辺りデジタルとのスタンスの違いに違和感を感じることが多くなっています。
フィルムは撮影現場での判断が全て結果に直結でしたから、撮った後で画像処理なんて考えがそもそもありませんでした。さらにリバーサルフィルムを使っていると痛感しましたけど、失敗写真は現場での判断ミスの証、なので撮る時には良い意味で緊張感がありましたね。
それがオジサンの長年やってきた写真作法だったので、後からの画像処理有りきのデジタル写真の、過剰なレタッチと言いますか、やり過ぎのあの不自然さがどうしても馴染めませんでねぇ。
ネットを見てると、デジタル写真は思い描くイメージに近づけるよう、撮影後の画像加工やレタッチをして初めて完成するとか、写真表現の一つなんて言ってるフォトグラファーもいましたな、撮った人が画像加工をやれるところがメリットだという考え方も。
ま、分からなくはないですし、間違いではないのですけど、なんだかやり過ぎなのが目に付きましてねぇ、彩度とコントラスト強めの、SNSでいいねがいっぱい付く写真と大して変わらないようなのばかりで、過ぎたるは及ばざるが如しだなって思っちゃうのですな。
CGやVFX使いまくりの映画みたいに実によく出来てて、リアル感もあるのですけど、どこかウソっぽいという。写真というよりよく描けた絵画に近い感じ、アニメの背景画みたいなやつね。(笑)
画像処理の技を公開しているフォトグラファーもいますな、だけど処理前と処理後の写真を見て、ここまでいじくり回したものを、まだ写真と呼ぶのかって違和感を覚えましたよ、コレって撮る時に撮影現場でどれぐらい考えて撮ってるのかなって疑いの眼差しも。RAWで撮るのは写真風画像を作るための素材撮影じゃないでしょうし。(笑)
撮る時の判断やスキルより、後の画像処理技術で完成させたものを、今は写真と呼ばなくてはいけないわけで。
厳密に言うとデジタルカメラで写真を撮ってる時点で、カメラ内部の画像エンジンによる画像処理はされていますから、何も無しはあり得ません。そこを後から自由自在に加工できるRAWデータで撮影できるということは、自由過ぎて何でもありってことですけど、加工し過ぎ写真があふれかえる原因でもあったかと思いますね。
ま、RAWで撮ることすら違和感を感じ始めてる、レトロ頑固なヘンコオジサンとは対極の考え方が今のデフォルトですから、そんな写真に「いいね」って思いませんけど、時代もこんなオジサンにいいねって思わないでしょうな。(笑)
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コメント
今晩は。いつもながらのご無沙汰ですが楽しく拝見しています。今回の記事、同感です。
私、念のためにRAWも記録してますが、フィルムの時と同じく現場で完成させたい部類です。だからデジタルでも必要なら段階露出します。
主に風景を撮っていますが、山でも渓谷でも森でも、被写体は「モデルさん」と思っています。
なので、イメージ的な画像作りではなく、その場の光景をできるだけそのまま記録したいですね。撮らせてもらっているので、画像処理の素材とは考えたくないです。
投稿: 星まつり | 2022年9月14日 (水) 23時34分
どうも。
なかなか面白く読ませていただきました。
絵をわざとらしく目に付きやすいように弄繰り回すことが正しいのかどうか。本来なら人それぞれと言いたいところですが、今の時代ではこれが正しいと言い切れますよ。
いまはニュースサイトの見出しも、こういったブログの見出しも一昔前とは違って人が押したくなるような煽り文句だけをつけて閲覧数を稼ぐやり方が主流になってしまいました。
そして、それは写真も変わりません。極端にコントラストを高くし、明暗をはっきりさせて目に留まりやすい写真でないとwebという媒体では意味がありません。
要は、写真や文字の見方が変わったんですね。
正確に伝えることが正しいことではなくなり、人に見られるように工夫することが正しいことになってしまったのです。
投稿: 通りすがり | 2022年9月16日 (金) 03時26分
星まつり様、おはようございます。
写真を始めた頃はデジタルなんてありませんでしたから、フィルムのしきたりがそのまま写真ライフでした。なので今でも現場で判断が楽しいと感じますね。帰ってからパソコン画面で見て、もうちょっとこうすれば良かったというのはあるのですけど、でも画像処理はしなくなりました。富士フィルムのカメラに替えてから、色合いが気に入ってRAWで撮らなくなったせいもありますね。
投稿: よもかめ亭主 | 2022年9月16日 (金) 07時19分
通りすがり様、おはようございます。
おっしゃる通りだと思います。
Webの発達で文字、映像、音などありとあらゆる莫大な情報が瞬時に世界中に拡散する時代ですから、その中から目を引く情報は正しさや内容より、いかに目にとまるかに変わったと思います。
写真もそういう時代の媒体に変化したのだと感じますね。
投稿: よもかめ亭主 | 2022年9月16日 (金) 07時29分
画像処理とデジタル写真って
切ってもきれなくなりましたね
仕事では数枚組み合わせて合成して完成とか
日常茶飯事ですし
聞いた話で面白かったのは
デジタルミラーってあって
映る女性が綺麗に映るんですって
でですね
本人もそれが自分の本来の姿と
思ってくるそうです
デジタルで変換されて
映る姿がその形でデフォルトになってくると
もはやどれが本物なのか
わからなくなりますね
老眼も進んできますし笑
投稿: ネコスタ | 2022年9月16日 (金) 12時57分
ネコスタ様、おはようございます。
案外老眼が進んだほうが幸せかもしれませんよ。真実もフェイクもどっちも見えなくなりますからね。(笑)
投稿: よもかめ亭主 | 2022年9月17日 (土) 08時44分