フィルムは、遠くに在りて写せない。
4月7日にアップした「小さな希望と大きな絶望が、フィルムカメラに。」って記事に頂いたコメントの中に、KMやKRって懐かしの言葉がありましてですね。
これリバーサルフィルムの略号なのですけど、もはやこういう言葉すら知らない世代が、今フィルムを楽しんでいるのが現実。ココはひとつ「今時の若いモンが知らん」フィルム話を書いてやろうかと思ったのですな。
で、先ほどの略号ですけどね、KMはコダックのコダクロームISO感度25、KRはISO感度64のフィルムを表してます、そのプロフェッショナルタイプはPKM、PKRと呼ばれてました。
当時リバーサルフィルムには色素を構成するカプラーと呼ばれるものが乳剤に含まれる内式と、発色現像時に注入する外式の2種類あって、コダクロームは外式。
粒子が細かく解像度が高い、耐候性が高く変色しにくいという特徴がありましたけど、現像工程が複雑で時間がかかったのですな。地方だとプロラボに出してもその日に仕上がらない、対して内式フィルムは2時間で仕上がりましたからね。
それでもファンが多かったのはシャドーの締り、深みのある空の青色など、渋くて重厚で独特な色調が魅力的だったから。外国製フィルムの色合いと言いましょうか。
内式フィルムのエクタクローム64(EPR)にせよコダックの色調って総じてこの傾向、こってりと塗り重ねて描かれた油絵の雰囲気だなって思いました、対して富士フィルムさんは日本画の感じ。
どっちが良い悪いじゃなくて好みの世界、あの頃まだ若造だったオジサンは色々なリバーサルフィルムを使いましたけど、ある時エクタクロームでの撮影で大失敗。
夕暮れ時で色かぶりは予測して撮ったのに、同じ露出で撮ったフジクローム 100 プロフェッショナル(RDP)よりもガッツリ色かぶり、ガールフレンドのポートレイトは褐色の肌色を通り越して、カレー色の顔で全滅、若かったというかバカだったというか。(笑)
以来フジクロームばかり使うようになって1990年のVelvia(RVP)発売以降はこればっかり、夜の撮影や目測式のクラシックカメラにはPROVIA 100(RDPⅡ)を使ってました。
そういえばコニカミノルタのSINBI 100 プロフェッショナル(SRP)も使った覚えがあるのですけど印象が薄いですなぁ。ミノルタと一緒になる前はコニカ、それより前はサクラカラーって言ってたなんて、若いもんは知らんでしょうな。(笑)
リバーサルフィルムって主要銘柄はたいてい、一般タイプとプロフェッショナルタイプが発売されていたのですけど、プロじゃないと買えないとかじゃなくて、フィルムベースが印刷物向けだったり、乳剤の管理がより厳密だったりしたのですな。
コマーシャルフォトの世界では色再現って超重要、同じ乳剤番号のフィルムを買い込んだり、現像はプロラボの現像液が安定する火曜日にしか出さないなんてカメラマンもいましたなぁ。(笑)
フィルム時代の懐かし話を語り始めたらキリがありません、だけどそのフィルムがどんどん遠ざかってます、なにしろリバーサルフィルムの絶望的値上がりに音を上げるどころか、息の根を止められた感のあるオジサン、なのでリバーサルフィルムは富士フィルムさんのミラーレス機のフィルムシミュレーションの中。
これの出来がすごく良いので不満はありませんし、楽しんでおりますけど、やはりデジタルは質量の無いデータ、手に持ってライトボックスの上で鑑賞するなんてできませんからね。
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