マミヤスケッチの改造レンズを試したら(前編)
ジャンクのマミヤスケッチから取り出したレンズ、試行錯誤しつつなんとかXマウント用に改造できたので、さっそく試し撮りしてみました。その前にマミヤスケッチについて少しばかり。
元々はハーフサイズのシャツのポケットに入る小型カメラとして企画開発されたそうなのですけどね、主な輸出先だったアメリカのバイヤーからの要望もあって、24×24mmの真四角フォーマットに急遽変更、営業サイドからの要望で、明るいレンズを生かすための連動距離計、レバー巻き上げ、シンクロ接点付き、セルフタイマーと贅沢な内容になって、結果的に高価で無理すればポケットに収まるサイズのカメラになってしまったそうなのですな。当時のお値段ケース付き12800円。
同じ年、半年ほど遅れて発売されたオリンパスペンは、のちにオリンパスの名カメラを次々生み出した設計者で、当時まだ新米だった米谷さんが、会社の要望やあらゆる難問と闘いながらも、理想のカメラを追い求めて初心貫徹して生み出したカメラ史に残る名カメラ。誰でも使えて、写りも良く、お値段はマミヤスケッチの半額。ハーフサイズブームの火付け役になったカメラでした。
あらゆる部門の要望を聞いてしまったおかげで、最初の思いからかけ離れたカメラになってしまったマミヤスケッチは完全に負け組、わずか一年ほどで消えていったのですな。おかげで出回った数が少なく、後年希少価値が出て違う意味で名カメラになってしまったわけですけどね。(笑)
マミヤスケッチのレンズと言ってますが、正式名称はマミヤセコール35mm F2.8、新設計の3群4枚、35ミリ換算で約45mmの標準域のレンズです。
まず今回は、絞り値の違いによる撮り比べ、結論から言うと開放絞りF2,8は正直ダメダメでした。描写は甘いし周辺像はすご~く流れます、F4、F5.6と絞っていくと良くなりますけど、それでも全体にぼやっとした甘い描写。ところがF8まで絞ると別物、F11ではっきりくっきりマックス。F16まで絞ると逆にぼやっとしてきます。
全体はこんな写真、これの中心部分と周辺部分を、絞り値違いで撮り比べて拡大したのが下の写真です。
レンズには絞り表示のF8に赤い印があって、ピントリングの5m位置にクリックがあります、ここに合わせておけばパンフォーカスになるわけですけど、レンズの性能を一番発揮できて、屋外で手ブレしないシャッターを切れるのはココなのでしょう、実際撮り歩いてみてもそれを感じました。X-T20のマニュアルフォーカスアシストを使うと、F8で被写界深度内に入っているのがハッキリ確認できましたからね。
5mに合わせてF8かF11に絞れば、ピントバッチリな写真が簡単に撮れるのなら、販売価格にはね返る連動距離計を搭載した意味もぼやけてしまいます。
最初の企画開発からブレてしまった結果、高級機並みのスペックになったマミヤスケッチ、初心を貫いていれば、オリンパスペンと渡り合えていたかもしれませんな。好きなカメラなのでまだまだこのレンズについては書きたい事があります、そのあたりは後編で。
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コメント
こんばんは。
興味深く記事の内容と写真を拝見いたしました。
デジタルは容易に画像の拡大ができますから、ベタやL判では誰も気づかなかったはずの描写性能がつまびらかに・・・(笑)
甘いとか流れるとかいうのは決して恥ずかしいことでも残念がることでもなく、そうしたマミヤスケッチの特性を生かすのが、何の制約も受けない我々自由なアマチュアカメラマンかと。
マミヤスケッチ・・・益々好きになりました!
後編も楽しみにしております。
投稿: 想桜 | 2019年3月 9日 (土) 23時22分
想桜様、おはようございます。
後編では実際の街歩きで撮った写真を掲載しました。本来の楽しみはこちらです、十分魅力的なレンズでした。ってもう公開してますので、見てやってください、よろしく。
投稿: よもかめ亭主 | 2019年3月10日 (日) 07時36分