だから廃墟は美しい。
冬場になると必ず白菜を漬けます、お漬け物って美味しいですからね。お家で漬けてみると分かるのですけど、すごく持ちます。スーパーで買ってきた物は早く食べないと、すぐに味が変わってしまうのですな。
たぶん化学の力で短時間で漬けているからでしょうね。原材料名の表記を見ると、聞いた事もない物がいっぱい書いてあったりします。自家製だと塩と昆布と鷹の爪しか入ってません、後は時間と寒さが美味しくしてくれるのですな、時間はかかりますけど、それが実は大切なのだと思います。
廃墟の話に何でお漬け物って思ったかもしれませんけどね、時間の事を言いたかったわけで、人が住まなくなったり、使われなくなってしまった建物が朽ち果てていく姿は時間が作ってくれるのだなと、今まで撮った廃墟の写真を見ながら思いました。
原形をとどめないぐらい見事に崩れ去ったまま放置されている廃墟もあれば、廃墟になってもまだまだ立派なたたずまいのまま残っている建物もあります。そこになんだか年月が作り出した美しさを感じてしまうわけで。なぜそそられるのか、どうして撮ってしまうのか、それまでの時間が写るような気がするからかもしれません。
阪神淡路大震災の直後は街全体が廃墟のような様相だったので、ほとんど写真を撮りませんでした、と言うか撮れなかった。撮っても悲しみしか写りませんでしたからね。ほんの数分で廃墟になってしまった街の変わりように愕然となってしまって受け入れられなかったというのもありました。
オジサンがそそられるのはそういうのではなくて、時代に取り残されたり、役目を終えた後放置されているような物件が時間と共に違う魅力を醸し出しているところ。地方に旅して見つけたボーリング場の廃墟だとか、再開発の目途も立たずに放置されたままの歓楽街の古い一角だったり、店をたたんだ後も看板だけが残っている物件だったり、忘れ去られた商店街だったり、書き出すときりがないですけど、ニュアンスとしては分かっていただけるかと。(笑)
街の写真を撮るとき、ジャンルを決めているわけではありません、街のたたずまいの中で見つけた、オジサンにとって面白いと感じる物件を、そのときの気分で撮っているだけなので、様々な物にカメラを向けてます、そんな写真もまとまった数になると、後で見返したとき同じジャンルやカテゴリーに分けられる物が出てきます。当然そそる物件は数も多いですな。
廃墟もその時々で発見した物ばかりですけど、今見返してみると結構な数になってました。おそらくどの廃墟も今となっては残ってはいないでしょうし、マンションが建ったり、ショッピングモールになっていたりすると思います。だけど美しく寂れながら消えていった廃墟の記憶はオジサンの写真の中に記録として残っていますからね。撮ったときの気持ちと共に、決して忘れたりはしませんよ。(笑)
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コメント
はじめまして。
廃墟って風景撮影の究極の形じゃないでしょうか?自然は毎年同じように移り行くけど廃墟は手を加えなければどんどん崩れていく。人間が作ったものだからひっそりと消えゆくのが美しいですね。
投稿: MFゴースト | 2018年2月24日 (土) 08時46分
MFゴースト様、はじめまして、おはようございます。
本来ならさっさと取り壊され、新しい建物になるのが筋なのでしょうけど、何らかの事情があって、そのまま放置されている内に、劣化が進んで今の姿になってしまったと思うのですね。なのにそれがとても美しく見えてしまうので、どうしても撮ってしまうという。たしかに究極かもしれませんね。
投稿: よもかめ亭主 | 2018年2月25日 (日) 05時28分