立ち飲み百景31 看板メニューがあるお店
立ち飲みだから座れるお店に行けないお金の無い人がお酒を飲む所だと思っている方は大間違い。いや確かにお金は無いですけどね。(笑)たまたま立って飲むお店になってしまっていますけど、実はミシュランガイドに載ってもおかしくないとオジサンは思っている名店も数々あるのですな。ただ本気で載ってしまうと、今までの常連さんは来なくなったり入れなくなる事が確実なのでね。ミシュランガイドに載るだけの内容を庶民価格で提供してくれているところがミシュランをすでに越えているという。オジサンはそういうお店で日々お酒を楽しんでおりますよ。(笑)
立ち飲みに集う方々って、安く飲める事は当然ですが、たまたま帰り道の便利な場所にあるからとか、朝から開けてくれているからとか、そのお店に通うようになったキッカケって色々あったと思うのですけどね。そんな理由の中でも「旨いアテがある」というのは重要かと。今風だと「フードメニューが充実している」とでも言いましょうか。常連客が必ず注文する料理があるお店。それを目当てに仕事帰りの一杯を楽しみに来るわけで。
帰り道にあった、今は無き大箱の立ち飲み、湯豆腐が看板メニューというか、その筋では知られたお店だったのですけど、入ってくるお客さんの9割は「湯豆腐ね」って判で押したように注文してました。なのでお店に入るとどのお客さんの前にも湯豆腐が置かれているという。それを見て思わず「湯豆腐ね」って注文してしまうわけですな、湯豆腐が湯豆腐を呼ぶ名店。他のメニューもたくさんあったのですけどね、まず湯豆腐でスタートしないと申し訳ないような気がしたわけで。(笑)
サラダがおいしいお店も人気が高いですな。サラダと言ってもアボカドが入ってるだとか、スモークサーモン乗っかってるとかそんなオシャレなサラダじゃありません。立ち飲みですからね、オジサン達が子供の頃からなじみのあるポテサラ、スパサラ、マカロニサラダの三種類、全部マヨネーズ味の年間通して注文したくなる逸品。
チェーン店の居酒屋だと食品メーカーの業務用を使っていたりして美味しくないのですけど、立ち飲みのサラダは、お店のオカアサン手作りってところがミソ。日によって中に入っているものが違ったりします。「今日はハムが多いっすね」って聞くと「串カツ用に切ったのが売れ残ったから刻んで入れたった」なんて具合。玉ねぎいっぱいだったり、ニンジンだらけだったり注文するまで分からない謎味を楽しむわけですな。どう転んでも美味しい事には変わりがないのですけどね。(笑)
酒屋さんがお店の裏を改装して立ち飲みにしているようなお店だと、お酒の種類が充実しているところが看板メニューなわけで、立ち飲みでおよそ見かけないようなお酒が当たり前にお品書きに書いてあったりします。地元の某立ち飲みで「レミーマルタン400円」って貼ってあるのに笑いましたけど、誰か注文する人がいるから貼ってあるのでしょう。
これからの季節だとおでんが美味しいお店もいいのですけど、粕汁もはずせないですなぁ。具だくさんの粕汁って暖まりますし、お酒のアテにも十分楽しめますからね。
行きつけの立ち飲みの冬季限定メニューだった粕汁、リクエストしても高齢でもう作ってくれなくなってしまってます。手間がかかるのでオカアサンの気が向いたときに大きな鍋に一杯だけしか作ってくれない幻の逸品でした。
無くなったら売り切れ、早いもの勝ちの世界なので、お品書きのホワイトボードに「粕汁」の文字を見つけたら即行注文、出遅れると当たりませんのでね、粕汁争奪戦がこのお店の冬の風物詩でしたな、一度直前の常連さんで売り切れになって悔しい思いをした事を未だに覚えているというぐらい美味しい粕汁でした。(笑)もう一度食べたいのですけどね、叶わぬ夢ですな。
誰に聞いても「あの店のあれは旨い」と太鼓判な看板メニューがあるお店ってそれだけでお客さんが集まってきます。酒飲みはお酒さえあればいいってモンじゃないのでね、ハート鷲掴みなメニューがひとつあるだけでお酒の味わいも変わります。
いつものお酒にマチガイのないアテ、看板メニューを味わいながら、今日も看板の時間まで飲んでしまうわけですな。(笑)
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