その筋の「すじ」は筋違いの筋の良さだった件。(笑)
その方面のことを指すときに「その筋」なんて言い方をしますけど、すじと聞いて何を思い浮かべますか。関西だと圧倒的に牛肉のすじ、おでんにお好焼に、そのまま煮込みにしたり、牛すじ文化がありますのでね、すじといえば食欲をそそるビジュアルが目に浮かぶという方が圧倒的かと。(笑)
我が家でもお好焼の際には、家内が必ず前日にすじを炊いています。下処理をしてコンニャクと一緒に甘辛い味付けで炊く「すじこん」。神戸の長田区辺りでは「ぼっかけ」と呼びます。ぼっかけうどんなんかが有名。そのまま食べてもお酒のアテにぴったりなので、いつも多めに炊いてますな。
居酒屋さんでもすぐに出てくるメニューなので、置いてあれば結構注文します。青ネギに七味唐辛子パラパラして食べるとおいしい。味噌で煮込む大阪の「どて焼き」とは違って味付けは醤油なのが特徴。
すじについて調べてみたところ、コンビニが冬場に提供するおでんの具材で全国に広まっていったそう、それまではそんなにポピュラーなものじゃなかったみたい。確かに牛すじって食肉の流通に乗らないような部分でしたからね、言ってみれば捨てる部位、昔はスーパーでは置いてなくて精肉店でしか扱いがなかったですな。
子供の頃、おでんには鯨のコロが必ず入っていたのですけど、鯨がどんどん出世してお高い食材になってしまってから、母親がすじ肉を代わりに入れるようになった記憶があります。いつも弟と争奪戦でした。(笑)
たかがスジ肉ですけど、おでん用に売られている串に刺さったものは筋肉の腱の部分なので、白くて脂肪が少なく、やや堅くてゴムのような弾力があります、それに対して部位ごとに切り分けたときに出る赤身の多いすじ肉は、すじこんにすると美味しいのですな。
この辺りお肉屋さんによって扱いが違うので、結構当たり外れのある部分。煮込んでもなかなか柔らかくなってくれなかったり、ほろほろに柔らかくなってくれたり。同じお肉屋さんで買っても、そのときによって違ったりします。
いつも買うお肉屋さんは、その辺り専門店なので安定供給してくれています、わざわざ電車に乗って買いに行くだけのことはあるかと。
ところが、この間それを越えるいい「すじ」をある筋の方から教えていただいたわけで。行きつけの立ち飲みで最近よく見かけるようになった方、共通の話題で話が弾んで、お目にかかる度に話しかけて下さるのですけど、時々大きな保冷袋を持って現れるのですな。
聞くと某有名ステーキハウスが、裏メニューですじ肉を安く販売してくれているのだそう。いつもあるわけではなくて、入荷したときは看板に小さな張り紙が出るので、それを目当てに買いに行くとの事。
それを聞いて、お店のオカアサンが試しに買ってきたのですけどね、かなり筋のいいすじだったようで、看板メニューのおでんに入れてましたけど、「市場で買うのとちゃう、いつもより高い値段取らんとアカン」と絶賛。
オジサンも張り紙が出ていたときに試しに買って帰ったのですな、さすが名前の通ったステーキハウスのものだけあって、赤身たっぷり、脂身少な目、炊いても目減りしないし、柔らかくてコレは旨いと1kg買ったのが一瞬で無くなりました。もうね、お酒飲める飲める。(笑)
お店としてはメニューとして出せない部位なので、格安で販売してしまえという筋書きに、すじ好きが群がったわけで、それがステーキハウスだけにグレードの高い筋金入りのいいすじだったという。ありがたいですな。
これからはお出かけの際に必ず前を通って張り紙を確認することにします。有名ステーキハウスの筋目の通ったすじ、おでんの季節はこれを入れるのが今から楽しみなオジサンなのでありますよ。(笑)
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コメント
江戸落語好きにとって牛スジと言えば林家彦六(断言)。
三越から仕入れた牛スジを醤油と酒だけで2晩煮込み、豆腐を入れた特製牛丼を正月に弟子たちにふるまっていたいたそうです。
独演会に来た客にまで配っていたというから、あの師匠は(お金が貯まらずに)ずっと長屋暮らしだったんだろうな(笑)。
イベントで孫弟子たちが再現したものを食べたことがあるけど、材料費をケチったのかちょっと肉が固かったのが残念
投稿: kazzuo | 2017年9月16日 (土) 18時53分
kazzuo様、こんばんは。
林家彦六さんのことは全然知りませんでした。「肉豆腐」という料理でしょうか。テレビのドキュメンタリー番組で歌舞伎俳優さんが出前を頼んでいるのを見たことがありますが、関西では馴染みがないですね。すき焼きになってしまいますからね。
投稿: よもかめ亭主 | 2017年9月16日 (土) 20時40分