手ぶれとピンぼけ、どう違う?
まず申し上げておきたいのが、よくピンぼけ写真と言われているものは、そのほとんどが、手ぶれ写真だという事実。手ぶれとピンぼけの根本的な違いをご存じなくて、何となくハッキリしない写真をみんなピンぼけ写真と呼んでいるわけですな。文字通りピントのぼけた会話になってしまって話が噛み合わないことになるという。(笑)
え~っとですね、若かりし頃入り浸っていた写真屋さん、何かと理由をつけて機材を買い換えてばかりのおじいちゃんで賑わっていたお店。
一番多かったのがピンぼけで使い物にならないという交換レンズへのクレーム。歳いって体が動かなくなった分、機材への文句ばかりが増えた「カメラ&写真ファン」として、あの世に旅立たれても成仏できないだろう人たち。ま、すでに全員仏壇に収まっておられますけどね。(笑)
この方たちの撮る写真は、言ってはなんですが、100%機材に罪はありませんでした。すべて自分の腕前がダメダメなのを機材に責任転嫁しているだけの、どうしようもない人たちの、ゆる~い写真でした。
「今のニコンはアカンわ、シャープさがひとつもあらへん。」4つ切りに伸ばしても手ぶれしてるだけなのが分からへんのやろか?と隣で聞いておりましたが、その辺、店長が一枚上手、
「来月出るこのレンズ、噂ではかなりのモンらしいですわ。ウチみたいな小さい店まで回してくれるかどうか分かりませんけど、何やったら手配かけましょか?」とさりげなく、おじいちゃんたちを手玉に取るわけですな。
小さいけれど中古機材の回転だけは速い、ほとんど未使用の新古品あふれる魅惑のお店でした。(笑)
コンテストに出すのに大延ばしした、おじいちゃんたちの写真を、渡す前に見せてくれて、手ぶれとピンぼけの違いを徹底的に教えてくれたのも、今となっては懐かしい思い出です。
で、そんな英才教育を受けたオジサンが手ぶれとピンぼけの違いを僭越ながら徹底解説いたしたいなと。
まずピンぼけ写真ですが、そもそもピンぼけって、ピントを合わせたかった所にピントが合ってない状態を指します。たとえば花の写真で、手前の花にピントを合わせたつもりなのに、奥の花にピントが合ってしまったというような場合ですね。
つまり意図した所にピントが合ってないけど、画面のどこかにはピントの合った所が有る写真です。最初からピントを合わせてない写真は論外としますね。
それに対して、手ぶれ写真は、ピントとは関係なく、シャッターを切った際にカメラもしくは被写体が動いてしまって、画面全体がずれてしまった状態を指します。
拡大すると、特定の方向に像が動いた跡が見えるので、すぐ分かります。写真全体が不鮮明に見えるので、ピンぼけと勘違いしてしまうということですね。
ファインダーの無いデジカメやスマホで、カメラをかざすように構えて撮ると手ぶれ率がアップ、拡大すると景色が2重に見えたりするのは完全に手ぶれ、ピンぼけでは無いのですな。
カメラって不思議なもので、ひとつのカメラとじっくりお付き合いすると、カメラと一体化していい関係が出来るので、反比例して、手ぶれピンぼけなどの失敗率はどんどん下がっていきますね。これは経験上申し上げておきたいこと。
オジサンの場合、お酒が切れると手が震えて手ぶれ。飲んじゃうと脳味噌がピンぼけになって、まともな時が無くなってきておりますが、キヤノンT90とFD24mmF2.8レンズの組み合わせだけは、どんなに酔っぱらっていてもぶれませんよ。一番長くお付き合いしてきたカメラですからね。(笑)
ぱっと見た目、右に比べて左はモヤッとしているのでピンぼけだと思ってしまいますが、実は手ぶれ。眼の部分を拡大してみると像が動いてしまっているのが分かります。
こちらは思った所にピントが合ってないピンボケ写真。ボディーの「F」の花文字に合わすつもりがレンズ先端の「F.Zuiko」にピントがきた前ピン写真。ピントがあっているところがあるのに全体にモヤッとしてピンぼけに見えてしまいます。
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コメント
よもかめご亭主さま、おはようございます! なるほど、手ぶれとピンボケの違いがよくわかります... 以前、テナックスのましかく写真で撮った神戸の写真がボケボケで泣いてたんですが、何のことはない、クローズアップフィルター着けてスナップ写真を撮っていたというオチでした。若いころローライ35を使っていてあんまりうまく撮れなかったのは、ピンボケと思っていましたが、手ぶれだったのかもしれません。今となってはうまく撮れた一枚しか残ってないので検証しようもないですが...
ところで、フクロウ?ミミズクは最近流行りの「フクロウカフェ」での写真なのでしょうか?ヽ(´▽`)/
投稿: 旅芸人 | 2016年7月 7日 (木) 06時23分
よもかめ亭主様おはようございます。
目のせいでピンが甘くなった例として出したのが手ブレですね。でも本物のピンボケもあの一本の中に多数ありました。差し替えたほうがいいですか…(笑)クロースアップをつけて開放にするとピントが紙一枚ほどになるので、ピンボケか手ブレか大チョンボか区別つきにくいです。この撮り方はもう年齢的に無理ということにしときましょう。視度調節レンズをつけて、マクロレンズにしてからボケ写真は激減してるのでまだいけます(笑)二眼レフとブロニカでは1枚も出してないのはファインダーの大きさかな。あとボディの重さもいい方に作用してますね。記事のおかげで色々改めて見直しました。いい機会を与えてくださってありがとうございました。
投稿: Myrrh | 2016年7月 7日 (木) 09時43分
よもかめ亭主様、こんにちは。
写真に興味がなかった頃はファインダーって何のためにあるの?と思ってました。今はファインダーの重要さが分かりましたけどね。
そういえば、今じゃ写真撮った後に液晶画面をタッチして自由にピントの位置を変えられるカメラがあるそうですね。ボケ具合も自由自在なんだとか。まぁ手ぶれしてたら意味ないんですけども。 これ便利ですけど・・・写真撮っててあんまり楽しくなさそうな気がしますね。撮った後にあれこれいじりたい人にはいいのかな?
投稿: りえぽん | 2016年7月 7日 (木) 17時12分
旅芸人様、こんばんは。
この写真、今は「神戸どうぶつ王国」という名前になってますが、以前は「神戸花鳥園」という鳥や花と触れ合える施設でした。探していたらちょうどいい写真があったもので採用したわけです。
投稿: よもかめ亭主 | 2016年7月 7日 (木) 22時08分
Myrrh様、こんばんは。
意外と手ぶれとピンぼけって混同されていることが多いので書いてみました。オートフォーカスでピントは機械任せになっているのにぼやっとした写真なのは手ぶれのほうが実は多いからなのですね。手ぶれ補正が付いていても構え方が悪いとダメダメです。真剣に気合を入れて撮りたいと思うカメラだとぶれないでしょう、ブロニカやF2みたいに。
投稿: よもかめ亭主 | 2016年7月 7日 (木) 22時16分
りえぽん様、こんばんは。
オートフォーカスはピントを合わせてくれるということで分かりますが、後からピント位置を自由に変えられるって、撮る時に何も考えなくても後からカメラがどうにかしてくれるという解釈をしてしまいます。オートフォーカスならぬオートアホカス。そこまでカメラに任せて撮りたくないですな。
投稿: よもかめ亭主 | 2016年7月 7日 (木) 22時21分
よもかめ亭主さま今晩は、あんみつです♪

手ブレにならないようにじっくり撮影しようとすると、
シャッターチャンスのタイミングを逃してしまいます
ささっと素早くピントを合わせられたらなあ…修行の道はキビシイ!
よもかめ亭主さまにも、そんな修行時代があったのでしょうか?
今このブログで見る写真の素晴らしさも、過去の日々の賜物なのでしょうか。
まだまだ修行の足りないあんみつです
投稿: あんみつ☆乙女 | 2016年7月 9日 (土) 01時55分
あんみつ☆乙女様、おはようございます。
写真との付き合いは40年になりますからね。修行はしませんが上手くなりたいというのはありました。
投稿: よもかめ亭主 | 2016年7月 9日 (土) 06時04分