レンズのB級グルメ、3枚玉を楽しむのだ。
名機ミノルタオートコードの前身に当たるミノルタコード、レンズはロッコールではなくプロマーという3枚玉、オートコードの影に隠れた気の毒な存在。使い勝手はほぼ同じなのにね。(笑)
レンズのカタログを見ていると、4群6枚なんて書いてありますな。レンズの構成がどのようになっているか表記してあるわけで、断面図なんかもイラストで描いてあったりします。ズームレンズなんて一本のレンズにこれでもかというぐらいいっぱい、ズームによって発生する収差を補正するために複雑怪奇になってしまうのですな。
コンピューターで設計するようになって、このような複雑で高性能なレンズも当たり前になってしまったのですから、素直に喜ばなくてはなりません、ホント今のレンズは面白味がないくらい優等生でケチの付けようがありませんな。
それに比べて古いカメラのレンズはシンプルそのもの、当時は最先端だったのかもしれませんが、今の目で見ると何とものどかなレンズたち。コンピューターもズームレンズも無かった時代なので当然といえば当然なのですけどね。
ブローニーフィルムを使うスプリングカメラや二眼レフが全盛だった頃、カメラは付いているレンズで値段が変わりました。当時の広告を見てみるとよく分かります。開放F値の違いや、構成枚数の違いでグレードがいろいろあったわけですな。
よく知られているのはローライフレックスとその廉価版の位置付けのローライコード、それぞれ付いているレンズはテッサー(4枚構成)、トリオター(3枚構成)という有名なレンズが付いてました。高級機には4枚玉、廉価版や大衆機には3枚玉というのが一般的だったわけですな。そんな時代のカメラとレンズを楽しむのは、レンズ交換のできる一眼レフとは違った楽しみがありますよと言うオハナシ。グルメはグルメでもチョット珍味系かなと。(笑)
3枚構成のレンズ(トリプレットレンズと呼ばれています)は4枚構成のレンズに比べて、画面周辺部のピントやぼけ具合が悪いと言われています。計測機械やチャートを使ってきちんと調べれば、その辺りのダメダメな部分がはっきりあぶり出されるのでしょうが、そういうのは学者の先生辺りにお任せする部分なので、オジサンは興味がありません。
それよりも実際に撮ってみてどうよ、な部分が楽しければその方が面白いと思うのですね。だめな部分もレンズの味わい。
B級グルメって、味はA級値段はB級の地元で長年愛されている食べ物のことを指すらしいですが、3枚玉もレンズのB級グルメかなとオジサンは思うわけで、今時の高性能なフィルムを使えば、何の問題も無いというのが見解。
当時のフィルム感度はISO50が主流、ISO100が高感度と言われていた時代。今はISO400が当たり前に売っています、ISO400のフィルムを使えば当然ながら絞り込んで写せるわけで、そうなるとレンズのダメダメなところもカバーできてしまうのですな。
絞り込んでもどうにもならない部分はありますが、それでも撮ってて問題なし、ぜんぜん平気、思った以上に良く写ります。3枚玉のレンズを今時の高性能高感度なフィルムで楽しめるのは、考えてみれば今の時代だからできる贅沢なことかも。もはやB級グルメじゃ無くなっているかもしれませんね。
上記ミノルタコードで以前、行きつけの喫茶店で、座った場所から撮らせてもらったもの。窓からの日差し、天井の電灯の光が、画面の隅っこでにじんでいる逆光状態に輪をかけて、お店の中が暗くならないように絞りを開けたので、手前のシュガーポットや生花がボケボケどころか壁のポスター以外ロクにピントが来ていないレンズに厳しい状況の写真になりました。
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コメント
すごく渋い大人の隠れ家を、こっそりと
覗き見ている気分です(ドキドキ…)
味のあるカメラのレンズがブルースっぽい店内の
カッコよさを映し出していると思います!
さすがはよもかめ亭主さま♪いろんなお店を
ご存じなのですね
投稿: あんみつ☆乙女 | 2016年4月12日 (火) 11時39分
あんみつ☆乙女様、おはようございます。
実は高校生の頃から通っている喫茶店です。駅前の再開発で今の場所に移りましたが、以前はもっともっと渋かったのですよ。
投稿: よもかめ亭主 | 2016年4月16日 (土) 06時42分
よもかめ亭主さんこんにちは。
三枚玉の悪口はどこにでもありますが、三枚玉を救ってくれてるの文は初めて見たかもしれません。
私は三枚玉好きですね。というか、単純な作りのレンズが割と好きです。貧乏だからかな(笑)予想外に光が暴れることもあるけど、そういうのがないと面白くないですね。ローライコードもモノの本にはけちょんけちょんに言われっぱなしですがそんなに汚く流れてるとは思えないし。むしろ好きな方ですね。ニコンにもチープなシリーズEってレンズがあって、これもなかなかですよね。
投稿: Myrrh | 2016年4月17日 (日) 17時14分
Myrrh様、こんばんは。
古いカメラ雑誌を見ていたら、ローライコードとリコーフレックスの三枚玉レンズ撮り比べ記事を見つけて、それに触発されて書いたものです。正直なところ撮った写真を見てレンズの構成まで分かるのかなと思いますね。厳しい撮影条件で、ハプニングが有ってもそれもレンズの味わいだと思えば楽しいかと。
投稿: よもかめ亭主 | 2016年4月17日 (日) 19時35分
私が持ってるもので3枚玉ってどれだっけ?と思って調べてみたら、イコンタシックス521/16がそうでした。テッサーが付いてるものもあるそうですが、私のはノバー。グルグルボケが出るそうですが、
大体絞って使うのでなかなかそれを味わう機会がありません(^^;
まだまだ初心者なのでレンズの違いがよく分からず、もう私にはこれで充分だと思っています(^^)明日から旅行に行くのですがこのカメラを持っていこうと思っているので、今からとても楽しみです~。ふふ
投稿: び~ | 2016年4月18日 (月) 07時55分
び~様、こんばんは。
ノバーってぐるぐるぼけが出るのですか、それは知りませんでした。昔持っていたことがあります。知っていたらぐるぐるぼけが出るまでチャレンジしたかもしれません。(笑)
投稿: よもかめ亭主 | 2016年4月22日 (金) 23時06分