被写界深度目盛り、使ってます?
カメラがオートフォーカスになって、ガッサリ省かれてしまったのが、レンズの被写界深度目盛り。付いててもほとんど役に立たない省略のされ方だったりして、無いのも同然の扱いになってしまいました。
何でこんな事になってしまったのかというと、カメラがオートフォーカスになったおかげでピントリングの回転を少なくしなくてはならなくなったからだと思いますね。
マニュアルフォーカスの交換レンズを見てみると最短撮影距離から∞までぐる~りピントリング(ヘリコイド)を回さなくてはなりませんが、オートフォーカスのレンズってほんの数センチ回転するだけ、ぐる~り回していたのではピント合わせに時間がかかってしまいますし、モーター動かすのにもバッテリーを消耗するわけで、瞬時にピントを合わせる必要から短い移動になってしまって、その間隔に被写界深度目盛りを今まで通り表記するなんて無理ということで省略。ズームレンズが主流になったのも原因の一つかと。
ピント合わせはカメラに任せたんだから、今さら被写界深度目盛りなんて見ないだろう、だからチマチマ表記してられるかって事なのでしょうね。ファインダーといい、被写界深度目盛りといい、便利になった見返りに大切なものがどんどんカメラから省略されていきますなぁ。
何で被写界深度目盛りについてグダグダ言うのかというと、これを使いこなすとレンズの焦点距離の違いや、撮るものまでの距離によって変わるピントの合う範囲を瞬時に理解できるようになるからなのですよ。言ってみれば計算するのに電卓とそろばんではそろばん使う人の方が暗算が速いのに似ているかなと。
被写界深度目盛りを読めば、「オレの撮りたいものは深度内に入っているからピントはOKだぜ」って判断が瞬時に出来るわけですな。目測の昔のカメラを使う時には絶対使っていただきたいのが被写界深度目盛りなのですね。
若かりし頃、こればっかりという感じで使っていたのが24ミリレンズ、いつも一眼レフに付けっぱなしでした。これぐらい広角になるとファインダーを覗いても全部にピントが合っているように見えてしまうのですな。で、被写界深度目盛りを活用、ピントを3メートルに合わせて、絞りをF8にすると1.5メートルから∞まで余裕で被写界深度内、バッチリピントが合います。いちいちピント合わせの必要もない、街中での撮影には抜群の機動力。
スナップ写真を撮る人に広角レンズが好まれるのは被写界深度の深さと画角の広さで瞬間をモノに出来るからでしょうね。オートフォーカスなんていらないですな。
同じ24ミリレンズで上はオートフォーカス用、下は昔のマニュアルフォーカス用。この違いは何?ちなみに下のレンズが文中に出てくる使い倒していたFD24mmF2.8。黄色の線を中心に左右対称に数字が書かれているのが被写界深度目盛り、距離3メートル絞りF8の状態だと1.5メートルから無限遠まで深度内だというのが一目瞭然。
レンズって近いところにピントを合わせると、すぐ後ろがぼけてしまいます。いくら絞っても全部にピントを合わせるのは無理。反対に遠景になればなるほどピントの合う範囲は深くなっていきます。100メートル先と1キロ先なんて、レンズにしてみればどっちもピントの範囲内って事なのですな。遠くにそびえる山並みを撮るのに必要以上に絞らなくても大丈夫って事、被写界深度目盛りを見ればそれが一目で分かります。
手前から遠くまで全部ピントが合った写真が撮りたいなんて時には被写界深度目盛りと相談すれば一目瞭然、このレンズじゃ無理だからもっと広角のレンズにしようとか、撮り方変えて何とかしようとかの判断もできますしね。オートフォーカスになる前の交換レンズは、きちんと表示してありました。古いカメラもたいていちゃんと表示してますね、カメラによってはパンフォーカス(手前から遠くまでピントが合った状態)になる絞りと距離の組み合わせを、印や文字の色を変えて表示してくれていたのもありました。(参考記事はこちら)目盛りを読めばレンズのことがよく分かる被写界深度目盛り、ぜひ使いこなしていただきたいとオジサンは強く思うのでありますよ。
二眼レフだとレンズではなく、側面に表示してあるのが多いかと、これはMINOLTA AUTOCORD、この表示だと、距離4メートルに合わせて絞りをF16に絞れば2.5メートルから10メートルにピントが来るのが読めますね。
これはMAMIYA6 オートマット、距離計連動で、ピント合わせが出来るので、こんな大雑把な表示でも十分役に立ちますね。
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コメント
よもかめご亭主さま、おはようございます。
最近、目測式のカメラを使い始めまして、この目盛りの威力を感じています。レンジファインダー機や一眼レフ機だと、ピントを肉眼で確認できるから、かえって「ピントを合わせすぎ」てしまっていました。目測式のカメラだと、この目盛りを使ってピントを合わせる・合わせたい範囲でレンズの距離をセットしてしまえば、ファインダーはもうフレーミングだけで集中できますし。
......難は、老眼だと見辛い小さい数字のときがあることですね...(o^-^o) 近眼メガネをかけたり外したり、と。
いつもいろいろ勉強させていただいています。ありがとうございます!
投稿: 旅芸人 | 2016年3月14日 (月) 06時03分
そうなんです!おはようございます、あんみつです。

何の目盛りなのか、カメラの取扱説明書にも出ていた
この仕掛け、ようやく分かってきているど素人です
今のレンズにはないんですか。もったいないと思いました。
マニュアルフォーカスの時には役立つはず…ですよね?
あれ?また間違えちゃったかな
投稿: あんみつ☆乙女 | 2016年3月14日 (月) 07時50分
おはようございます。
昔のカメラやレンズはしっかり彫り込んであったりプリントされてましたね。
私は参考・活用する方ではありませんが、この目盛周りのデザインが好きです。
ズームレンズのぎゅ~んと伸びた線もメーカーによって色・デザインが違ってなかなかの趣きが…(笑)
投稿: 想桜 | 2016年3月14日 (月) 09時34分
よもかめ亭主さんこんにちは。
これも省略、あれも省略。最近のレンズには絞り輪さえもないじゃないですか。
ニコン派ですが、不滅のFマウントなんて言葉も死にましたよ。
被写界深度がわかるから、スナップではAFのカメラよりも
MFの方が断然早いんですよね。
失敗してない確信も持てるし。
先日合格発表にAFの、しかも50mm持って行って失敗しました。
抑えにオートハーフ持ってたので助かりましたけど。
投稿: Myrrh | 2016年3月18日 (金) 14時13分
旅芸人様、おはようございます。
そうなんですよ、老眼になるとは思ってなかったので、目盛りが見えなくて苦労しています。脳みそのピントもずれてますしね。(笑)
投稿: よもかめ亭主 | 2016年3月19日 (土) 07時18分
あんみつ☆乙女様、おはようございます。
いえ、全然間違ってませんよ。ぜひとも活用して下さい。
投稿: よもかめ亭主 | 2016年3月19日 (土) 07時20分
想桜様、おはようございます。
直進ズームレンズの鏡胴に有りましたね、カラフルなラインで表示していたのを思い出しました。レンズ専業メーカーのほうが派手だったようなきがします。サン、キロン、コムラー、シグマなんかだったような。
投稿: よもかめ亭主 | 2016年3月19日 (土) 07時26分
Myrrh様、おはようございます。
おっしゃるとおり、構えてからピントを合わせるAFカメラと、構える前にピントはすでに合っていることが分かっているMFということですよね。どっちが速いか、よ~く考えてみよう。by萩本欽一(笑)
投稿: よもかめ亭主 | 2016年3月19日 (土) 07時39分
このことは大事ですね。
AFが嫌で、コシナレンズ使ってます。
投稿: 酔人 | 2020年3月10日 (火) 11時37分
酔人様、おはようございます。
昔はズームレンズでも鏡胴に被写界深度に連動した派手な曲線が書かれていたのですけど、なぜあれをなくしてしまったのかって思います。レンズを知るための重要な物だと思うのですけど。
投稿: よもかめ亭主 | 2020年3月11日 (水) 07時11分