街のポートレイト
今まで撮った写真をスキャン代わりにデジカメで複写しておりますが、実にスピーディー。どんどん捗るのはいいのですが、それをLightroomに読み込んでから傾き調整やトリミングをしなければいけないので、そこが滞って未処理写真がたんまりフォルダに入っておりますよ。
さっさとやればいいのですが、ついつい写真を眺めてしまうという。捨てる古本の整理をしていて、ついつい読みふけってしまって全然進まないのに似ていますな。
眺めていると撮った時の事が思い出せます、それもしっかり記憶が蘇るという。「この角、曲がった所にあった喫茶店で食べたサンドイッチはスライスしたゆで卵がいっぱい挟んであるやつだった」とか「この下町の路地でカメラのフィルムを入れ替えていたら、民家の網戸が開いておばあちゃんが冷たい麦茶をごちそうしてくれた」とか「たたずまいが渋くて撮った食堂に入ったら、帰りに電車の中で食べなさいと売れ残ったいなり寿司を包んでくれた」とか…。もうきりがないぐらい色々なことが思い出されて全然作業が進まないという。(笑)
そうして眺めていると、ずいぶん色々な街を撮り歩いたなぁということ。人も絡めたスナップだとか、観光名所の風景だとかはほとんど無くてひたすら街の写真ばっかりが並んでおりますよ。興味のない人には、なんだコレな写真なのですが、街大好きなオジサンは見ていて全然飽きないのですな。
以前、鬼海弘雄さんの写真展を見に行ったとき、作家自ら解説をしてくれるイベントがあって、会場を移動しながらお話を聞いたのですが、その中で街そのものを撮った写真の並ぶ会場で「私にとっては街のポートレイト」とおっしゃってました。人物を撮ったシリーズとスタンスは同じだという事なのだと思います、街そのもの魅力を撮っているわけですな。
鬼海弘雄さんはモノクロームで撮影されてましたが、オジサンは街の色というものにも興味があるので、カラーで撮ることがほとんど。カラーであれモノクロームであれ、街のたたずまいというのは興味深いものだと思うのでありますよ。
初対面の人と話していて話題が写真のことになると、必ずといっていいぐらい、どんな写真を撮っているのですかと聞かれるのですが、その度に街の風景とか建物とか色々なんて、ゴニョゴニョとごまかしておりました。
普通の人なら目を向けることなど無いだろうなぁと思うような所に面白さを感じてしまうので、いわゆる美しい街の風景だとか、人情あふれる下町情景だとかというものを撮ったことがなくて、聞いてきた相手を納得させるようなうまい答えが出てこなかったのですな。
でもこれからは、聞かれたら「街のポートレイト」を撮っていますと答えることにしましょうか、なんだか良いフレーズ。(笑)
ポートレイトの本来の意味は、肖像、肖像画、肖像写真だと辞書には出ておりますが、オジサンには街の成り立ちや歴史といったものを越えて、今ある姿が素晴らしい「街の肖像」だと思えるのですな。
そう思うと、今時の街のたたずまいは面白くありません。どこも同じ顔、外食チェーン店にファーストフード、ドラッグストア、携帯電話ショップの看板ばかりが目立つ画一化された街並み、その街の特色や匂いが漂ってこなくなりました。このままいけば街のポートレイトはどれも同じ顔になってしまいそう。
たとえそうなってもオジサンは街の写真に関しては写歴だけはありますのでね、間違いなく面白いものやマヌケなものを見つけてはカメラを向けていると思いますけどね。(笑)
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コメント
街のポートレイト、いい言葉ですねえ…

私あんみつも、そういうフレーズを使えるようにもっと
写真を頑張りたいと思いました!
投稿: あんみつ☆乙女 | 2016年3月29日 (火) 10時10分
あんみつ☆乙女様、こんばんは。
たくさん撮って下さい。100枚から選ぶ一枚と、1万枚から選ぶ一枚は意味が違いますからね。
投稿: よもかめ亭主 | 2016年3月30日 (水) 23時17分