そそるカメラ列伝、テナックスII(TENAX II)
このブログも最初の頃は、持ってる古いカメラの紹介記事をよく書いていたのですが、最近すっかりご無沙汰。だんだんよく使うカメラが限定されてきてそれ以外は仕舞い込んだままになっているのが良くないのですな。
今年の目標、フィルムカメラファン倍増計画に沿って(笑)カメラのことを書かなくてはなりません。記事を読んでいただいて、思わず中古カメラ屋さんやヤフオクで探したくなるような、そそるカメラの事をたくさん書いて、あなたに使っていただけるのを待っているフィルムカメラとの出会いを作らねばファンが増えませんからね。
オジサンは昔町内に必ずいたお見合いの仲介が大好きな世話好きオバサンと同じ事をカメラ相手にやりますよ。(笑)
で、今回ご紹介のカメラはTENAX II。いきなりややこしいカメラに登場いただくという、このブログらしい機種選択かと。
ドイツのツァイスイコン社製で発売は1938年(昭和13年)ですから78年前のカメラ、こんな古いカメラで写真撮れるのって若い方は思うかもしれませんが、あのころのドイツ製品はとっても質が高かったので、今使ってもビクともしませんな。工作精度が高くて、メカとしての美しさがあります。
ただそれなりのお年なので、使うときはゆっくり丁寧に余裕を持って使うのがよろしいかと。これはTENAX IIに限らず、古いカメラを使う上でのマナーだと思いますよ。優しく使って長く連れ添っていただきたいなと。
TENAX IIの特徴は35ミリフィルムで24ミリ×24ミリのましかく写真が撮れるところと、全面のレバーを押し下げてフィルムを巻き上げるところ、日本では通称招き猫なんて言われてますが、確かにうまい表現だと思います。
TENAXは元々2型という名前じゃなかったのですな、翌年の1939年に1型が発売されたため2型になりました。後から出た方が1型というのは、番号の大きい方が高級機というツァイスの伝統だそうです。
1型は大衆向けでレンズは固定、ピント合わせは目測。第二次大戦後、ドイツは東西に分断されますが、1型の部品を使って東側で作られたのがタクソナ。同じ名前が使えなかったのでタクソナという名前ですが、兄弟機です。一時ポラロイドカメラなどを扱う若い人のやっている中古カメラと雑貨のお店で、高い値段を付けられてよく見かけましたが最近は見かけませんな。ぼったくり価格にドン引きされたのでしょうか。
TENAX IIは1型と違って高級機、作りが全然違います。レンズ交換できて距離計連動、ドレーカイル方式という光学測距方式はツァイス独自のもので当時の高級機に採用されていたものでした。レンズは広角、望遠と標準が2種類ありますが、広角と望遠はまず見つかりませんな、オジサンも写真でしか見たことがありません。(笑)
使い勝手ですが、まずフィルム装填に時間がかかります。専用のスプールにフィルム先端を噛ませて装填するのですが、結構ややこしい。最初にジャンクで見つけてきたものは、距離計ダメダメプラスこの部分が安定しなくて、巻き上げが途中で止まってしまうのでシャープペンの軸やプラ板で大改造、安定して巻き上げができるようにして使っておりました。35ミリフィルムでましかく写真が撮れるカメラにハマっていた頃です。後にマミヤスケッチのお供で北の大地に嫁いでいきました。きっと可愛がってもらえてると思います。
このカメラフィルム装填さえできればこっちのモン、レンズはノンコーティングだし、カラーフィルムがない時代のカメラなので写り具合に不安を感じましたが、全く問題なし、シャープではないのですが味がある描写、カラーフィルムで撮るとこってりというか国産レンズにはない味わいが良い意味で期待を裏切ります。ただ逆光には実に弱いので、黒い紙で筒を作ってフードにすれば全然別物の写りになります。
レンズはいいのですが距離計がちょっとばかり凝った作りなのでキチンと修理しないと当てにならないのですな。今持っているのも結構アバウト、結局別に距離計使ってピント合わせしています。ドレーカイル式という光学測距方式はプリズムの微妙な角度でピント合わせをするので修理屋さん泣かせだと聞いたことがあります。
ま、長年古いカメラとお付き合いしておりますのでね、そのあたりは臨機応変に何とかしますよ。名門ツァイスがたくさんのカメラを次々と出していた時代のカメラ、脂がのっていたというかそういう感じが使っていて感じられます。35ミリフィルムを使う、ましかく写真好きにはそそるカメラという事で紹介させていただきました。中古カメラ屋さんで見かけたらゼヒ手にとって見てください。絶対欲しくなります。(笑)
過去記事もどうぞ。

何年か前に奈良に行った時に撮った、大仏さんのお家。レンズはTessar 40mm F2.8、フィルムはフジクロームベルビア(ISO 100)、ベルビアなのでかなり色乗りがいいのですが、それに輪をかけてコッテリ感がありますな。カラーじゃなかった時代のレンズとは思えません。
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コメント
よもかめご亭主さま、おはようございます。
おお、こういうメカメカしいもの、そそられますね... 奈良の写真もいい感じですね.... ただいま物欲は封印中のワタクシにとって、目の毒でございます〜。イーベイで検索したら、イタリアとオーストリアから出品されていました。いいお値段でございます.....
いつも楽しく拝読しています!いろんなカメラのご紹介、楽しみですヽ(´▽`)/
投稿: 旅芸人 | 2016年1月17日 (日) 09時50分
旅芸人様、こんにちは。
いかにもメカって感じが使っていても感じられるカメラです。最近あまり見なくなりましたが、有る所には有るようですね。すごい値段でしたが。
投稿: よもかめ亭主 | 2016年1月17日 (日) 16時02分
世話好きおじさんこんにちは。
愛のペイントも輝くテナックスllは今日も元気ですよ。
あったかい部屋でフィルムをお腹に入れてぬくぬくしてもらってます。
もちろんテナックスlと並んでいます。
ここ数日マイナス20度を観測してるので、外にクラカメ持ち出すのが怖いんですよ。
外に持ち出すなら例のキリバイカイロで結露との戦いになります。
プラスチックカメラでは味わえない楽しい手間ですが、今は雪かきも戦いです。
結構キツくて、作業後は昼寝です。
ということで毎年この時期はカメラを撫で回すか、フラッシュ一発室内でダラけてる子どもを撮るのがメインです。
子どもの合宿はマミヤスケッチで行ってきましたよ。まだ冬休みなんですよ。
近況報告になってしまいましたが、カメラ紹介楽しみにしています。
投稿: myrrh | 2016年1月18日 (月) 13時39分
こんなにきれいに写るのにそんな昔のものなんですね。
今よりももっと、カメラが貴重品だったからでしょうか?カメラ自体もカッコイイと思うし、スゴクきれいに写るのがドイツの物作りなんでしょうか?感動しました
正直驚いています
投稿: あんみつ☆乙女 | 2016年1月19日 (火) 07時08分
Myrrh様、こんばんは。
マイナス20度!想像できません。確かに古いカメラは油が固まって動かなくなるでしょうね。冷蔵庫の方が温かいということですか~。雪かきもテレビでしか見たことないですし~、恥かきなら年中なのですケド。(笑)
投稿: よもかめ亭主 | 2016年1月19日 (火) 22時09分
あんみつ☆乙女様、こんばんは。
こんなにきれいに写るのはウデです。(笑)古いからダメ、最新だからいい写真が撮れるとは限らないのがカメラの世界なのですよ。おかげで転落していく人多数。特にレンズは怖い世界です。
投稿: よもかめ亭主 | 2016年1月19日 (火) 22時14分