標準レンズで標準でない写真を。
もう古い話ですが、その昔一眼レフは大抵50ミリの標準レンズ付きで売られておりました。カメラを買うとき最初に手にするレンズ。まだズームレンズが主流じゃなかった頃はこれが当たり前でした。
50ミリという焦点距離を基準にその半分、その倍の焦点距離のレンズをそろえるというのが、レンズの選び方だった時代。
50ミリの半分ですと25ミリになるのですが、近いレンズは28ミリと24ミリ、そのころは24ミリは超広角レンズといわれていたので、28ミリを選ぶのが普通でした。
50ミリの倍だと100ミリになるので、85ミリ、100ミリ、135ミリのレンズから選んでましたな。今は標準ズームですべてカバーできるので1本で済んでしまいますが、あの頃は、広角、標準、望遠の3本の交換レンズをそろえるのが夢でした。
一眼レフを出しているメーカーはどこもレンズシステムが充実していて、たとえば50ミリレンズだと、F1.2、F1.4、F1.8とF値違いでラインナップしてました。F値の明るいレンズは当然ながら高くてデカい、おいそれと買えるものではなかったのでその辺りにも夢がありましたね。いつかはこのレンズを使ってみたいという。
少しずつレンズを揃えていって充実してくると、よく使うレンズとそうでないレンズが自ずと出てきます。オジサンの場合は、もうこればっかりという感じで使っていたのが24ミリの広角、続いて90ミリのマクロレンズでした。
なぜか出場率が低くなっていったのが50ミリ標準レンズ。個性的な広角やマクロレンズに比べると地味というか、個性が無いというか、そういうレンズだと思っていたわけで。
今になって思いますが、若すぎてその良さが全く理解できてなかったのでしょうな。広角のようにも望遠のようにも撮れる万能レンズ。明確な意図がないと中途半端な写真しか撮れない、ある意味使い手が試されているレンズだと今は理解できます。
このレンズでろくでもない写真しか撮れなかったのは、レンズのせいじゃなくて撮る側の問題だったと。若造には分からなかった世界。
広角やマクロで良い写真が撮れたと悦に入っていたのは結局レンズが撮らせてくれてただけなのかもしれません。
写真家の高梨豊さんの言葉に焦点距離年齢説というのがありますな、これでいくとオジサンは50代なので50ミリレンズが肌に合うということになりますが、この説は実にうまい所を突いているなぁというか、当たっていると思いますね。
なんというか50ミリレンズの画角がしっくりくるようになってきました。代わりにあれだけ使い倒していた24ミリの広角レンズは、めっきり出番が無くなっています。
標準レンズに始まり、標準レンズに帰ってきたと言いましょうか、そんなカメラオジサンになりましたよ。(笑)
近づいて遠近感を強調し、絞り込んで広角レンズ風。
少し離れた位置から、背景をややぼかして、望遠レンズ風。
うんと寄って、絞りを開け、背景をぼかしてマクロレンズ風。いろいろ出来ます標準レンズ。(笑)
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コメント
よもかめご亭主さま、おはようございます!
もはや「お師匠さま」とお呼びしたいです。なるほど〜ヽ(´▽`)/
一、絞って遠近感を出し、広角風にとるべし!
一、遠くから背景ややぼかしで、望遠風に撮るべし!
一、ぐっと近づいて背景ボケボケ、マクロ風に撮るべし!
この「標準レンズ三か条」を書いてカメラの裏蓋に貼り付けておきます!
いや、今日も天気がいいし、撮影が楽しみです。
いつもありがたく拝読しています。ありがとうございます。
投稿: 旅芸人 | 2015年12月 5日 (土) 07時50分
旅芸人様、こんにちは。
つまるところ、スタンス(撮る位置)と構図で、表現が変わるってハナシなのでございます。構図の手前にポイントになるものを配置して絞り込めば広角っぽく、全体を遠近感を感じさせないぐらい離れたところから撮れば望遠っぽく、グッと寄って撮りたいものにだけピントを合わせて他をボカせばマクロレンズみたいになるわけですね。ぜひお試しを。
投稿: よもかめ亭主 | 2015年12月 5日 (土) 12時56分