レンズにワガママな時代
デジタルカメラを買うと、たいてい専用のソフトがついてきます。画像処理やRAW画像の現像処理などをするためのもの。市販のものではアドビライトルームが有名ですが、この手のソフトには大抵レンズ固有の収差を補正する機能が付いています。
ライトルームだとキヤノンやニコンなどメーカーごとにレンズ名がずらりと出てきて撮影時のレンズ名をリストから選ぶと自動的に補正してくれるというもの。
たとえば真っ直ぐなものが歪んで写る歪曲収差、タル型やイトマキ型と呼ばれる画面周辺部に歪みが出る現象、レンガ塀やタイル壁を撮影してみるとよく分かるアレです。
それと色収差、画面の端っこに写っているものの輪郭に、全然違う色のにじみが出る現象。
たとえば私がいつも撮る街の写真だと、電柱が写っている写真を拡大すると電柱の輪郭部分に赤いにじみが出たり、黒い屋根瓦の家の写真を拡大すると緑色の縁がついてしまったり、電線に紫色のにじみが出たりします。
で、コレを一発で補正してくれるのが前述したソフトの機能。レンズごとのプロファイルを使って、このレンズはこんなクセがあるというのを補正しているわけですね。お高いレンズだろうが、お手ごろ価格のレンズだろうが、撮った写真はいつも完璧、優等生。これはスゴイ、パチパチ…で終わってしまわないのがこのブログのヘンコなところ(笑)
デジタルになってレンズへの要求がシビアになったせいでこのような機能が当たり前になっているのでしょうが、何でもかんでも画像処理ソフトと二人三脚ってねぇ。
ま、うるさい人が多くなったということでしょうが、レンズのダメな部分はソフトで何とかしましょうっていうのがなんだかなぁなのであります。
そこまでやらないと気が済みませんか。デジタル時代の国産レンズは、どれも優秀すぎてそんな事しなくても十分だと思うのですけどねぇ。すごく高いレベルでのドングリの背比べといいましょうか、優秀になった分個性が感じられなくなりました、とりあえずどれを買ってもマチガイが無い。
その反動でしょうか、マウントアダプターでオールドレンズを楽しむ方も増えました。おかげで今まで見向きもされなかったレンズが中古カメラ屋さんでじわじわ値上がりしてたりしますね。
今時のレンズはダメな部分があればネットのレビューなどですぐボロクソに評価されるのに、オールドレンズだと「味わい」の一言で許してしまうのもワガママなところ。ひどい写りのレンズでも好きになったらアバタもエクボって事でしょうか。
写したその場で確認できて、モニターで拡大して重箱の隅をツツキまくれるデジタル時代、レンズの楽しみ方も随分様変わりしたように思いますな。
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コメント
おはようございます。
私、飛行機の写真はトリミングしますが、その他の写真は補正ソフトを一切使いません。面倒です(笑)
人それぞれに写真を楽しめばいい、と思っていますが、補正に力が入っている作品?を拝見すると「もはや真を写してない」ので「芸術?」「画像?」「イメージ?」「心象?」と呼び名を何と言ったらいいか困ります(笑)
若い頃奮発して買った新品レンズがオールドレンズとして取り上げられているのを見ると「コノヤロウ」と思います。
投稿: 想桜 | 2015年6月21日 (日) 09時22分
想桜様、こんにちは。
デジカメ系写真雑誌でも作例にヒドイのがありますね。明らかにやり過ぎですがなみたいな。風景写真にシャープかけ過ぎでガビガビ。遠くの山はただのドット模様だったり。ポートレイトでお肌ツルツルにしすぎて人間じゃなくてフィギュアですか?みたいな(笑)
レンズに関しては今どきのレンズがつまらないからオールドレンズが取り上げられるのではないでしょうか。ボディーと違ってレンズは古びませんからね、個性があるから残ってるのだと思います。
投稿: よもかめ亭主 | 2015年6月21日 (日) 18時05分