喫茶店の思い出9
以前、毎朝電車の乗り換えのときに、セルフサービスのコーヒーショップでモーニングをよく食べていた。モーニングといっても180円のコーヒーにゆで卵が自動的についてくるというもので、いらなければ言えばコーヒーだけでてくる。
駅中の店で改札口から数歩、カウンターと二人がけのテーブル席が程々にあって、表はガラス張りの、いわゆる5分、10分ほどでコーヒーを飲んで出ていくような店なのだが、だいたい毎日同じ顔ぶれなのが面白い。
同じ時間帯の通勤電車から吐き出される人達が同じように店に向かうのだから当然といえば当然であるが、名前は知らず顔だけ知っている人達が、朝のホンのわずかの時間を、会話を交わすわけでもなく共有しているというのは、ちょっと変な都会の景色に思える。
こういう空間に、突然、普段見かけない人が入ってくるととても違和感があって、おのずと視線がそこに注がれることになるのだが、人間観察という点では結構面白い。
だいたいこういう店はほとんどがサラリーマンのオジサン客で占められているので、どう見ても場違いな賑やかオバチャン日帰り旅行グループとかが店の真ん中の席を占領していたりすると、ガラス越しにオジサンはコーヒーをあきらめて通り過ぎてしまったりするのであるが、これはオバチャンパワーにコーヒーを飲むリズムを乱される位ならあきらめた方が良いという瞬間の判断であろう。
ところがオジサン達が無言でコーヒーをすすっているところに、今時の明け透けなファッションの女性客が入ってきたりすると、なぜか視線がそこに集中する。といってもじろじろ見るのではない、何となくチラッチラッという感じで、気にはなるのだが、しっかり見るのは失礼だしそんな度胸も無いというオジサンの気弱な視線が宙を舞うのである。女性客はというと、そんな視線なんぞ屁とも思わず、ゆで卵をほおばっていたりするのが面白い。
他に面白いのは、セルフサービスの店など入ったことのない年配のオジサン。いきなり席に着くと注文を聞きに来るのをじーっと待っている。
そのうち様子のおかしいことに気が付き、「えっそっちで先にお金払うの?」とか何とか言いながら支払って、引換にコーヒーを受け取るのだが、普段自分でお盆を持って運んだことなど無いものだから、歩き方がソロリソロリとしていて、見ているこっちの方が変に力が入ってしまう。おまけにこういう店のお盆は上にのせたものがやたら滑りやすく出来ているのだ。
無事運ぶことができたオジサンのホッとした顔にこちらまでもホッとしたりして。
行きつけの喫茶店で、フジペット35で無理やり最短距離で撮ったもの。かなり無茶な条件だったがここまで写ったので良しとしよう。(笑)
| 固定リンク | 0
「 街のあれこれ」カテゴリの記事
- かどや食堂に、ありがとうを言いに。(2025.01.14)
- ブックオフって意外と便利ですやん。(2024.11.09)
- どこかで見たことがあるロゴの店。(笑)(2024.10.24)
コメント
よもかめ亭主さんこんにちは。
本物の都会で、至近距離に他人がたくさんいる感じって
よもかめ亭主さんのブログの魅力のひとつです。
今日の記事もその魅力がバシバシ出てます。
外に出れば人間観察ができる、そんな場所にまた住みたいけど
写真を撮る勇気が無くてカメラを死蔵しそうです。
喫茶店の写真良いですね。
投稿: Myrrh | 2015年4月12日 (日) 17時33分
Myrrh様、今晩は。
神戸の人間密度が観察にはちょうどいいぐらいなのかもしれません。大阪のように密度は高いわ、オモシロややこしい人ばかりだと観察が追いつかないと思います。(笑)
投稿: よもかめ亭主 | 2015年4月12日 (日) 20時09分
こんばんは。
朝の喫茶店の様子、良く分かります。
ほぼ同じ顔ぶれなんですよね。
セルフ初めてのオジサマ・ジイサマの挙動の不審さも良く分かります(笑)でも1度クリアすると達成感が得られたのか翌日も来て、私が毎日通っても声を掛けられない若い女性従業員に軽口を叩いて笑わせていたりなんかすると、「なんてこった新参者のオジサンに負けた…」と勝手にガックリしたりなんかして…(笑)
投稿: 想桜 | 2015年4月12日 (日) 23時37分
想桜様、おはようございます。
私も似たような経験があります。その時は「新参者がでしゃばるんじゃねえよ」とハッキリ言ってやりました。心の中で。(笑)
投稿: よもかめ亭主 | 2015年4月14日 (火) 06時35分