フィルムをデジカメで複写実験してみた。
自作Windows二号機で64bitOSだとニコン SUPER COOLScan4000EDが動かないのを何とかした顛末を少し前に書いたが、その時にもし動かなかった時のことを考えて複写用ベローズとマクロレンズにデジタル一眼レフでスキャナ代わりに複写してしまう実験について、いずれブログにという予告をしていたので今回はその結果報告をお届けします。
ベローズを使った複写については2013年8月22日に「スキャン待ち解消作戦」https://yomocame.cocolog-nifty.com/blog/2013/08/post-fce1.htmlという記事を載せているので参考にしていただければいいかなと、ベローズとデュプリケータにレンズとカメラが取り付けられた状態の写真も掲載していますので。
昨年、リコーイメージングがフィルム複写用アクセサリーPENTAX FILM DUPLICATORなる製品を発売しておりましたが、コンセプトは全く同じ、ただアチラはメーカーが本気出して作った専用品でとってもお値段がお高いのでおいそれとは手が出ないシロモノ。
で、無かったら工夫して何とかしてしまうのが日本のモノづくりの基本。というか、金持ちは金を出せばなんとかなるけどビンボー人は知恵を出すしか出すものがないのでね。
で、早速複写。ベローズの取扱説明書に細く設定が出ているのでそれを参考にセッティングして三脚ごと明るい窓際に置き外からの自然光で。
あとはデジタル一眼レフをパソコンに繋ぎ、リモートで画面を見ながら撮影倍率を微調整。ピント合わせも画面で拡大して正確に合わせられるのでバッチリ。絞りをF11ぐらいに絞り込んで絞り優先AEで撮影してみて露出補正で調整、終り。
というわけでこれだけです。というのでは面白くもなんともないので色々やってみたことを。
まずリバーサルフィルム(スライドフィルム)はそのままで写真として見られるので複写するのも特に苦労するところはない。
問題はネガフィルム、陰陽反転したフィルムなので、仕上がりが分かりづらい。
しかもカラーネガフィルムはフィルム全体がオレンジ色のベースになっているので、そのまま複写して画像処理アプリで反転しても色カブリしておかしな色調になってしまう。
具体的に言うとオレンジ色の補色である青に偏るということである。色相環の反対側の色なのだが、小学生の頃色鉛筆の箱の裏に書いてあった色が順番に変わっていく輪っかの絵の正反対にある色どうしが補色関係にある色で、赤と緑、黄と青紫などを指す。
そういうわけでネガフィルムをそのまま複写したのではきれいな写真にはならないので、デジタルカメラならではの機能であるホワイトバランスを使い色カブリを極力取り除いた。
手順はネガフィルムのリーダー部分など何も写ってない部分を複写、その画像をカメラのマニュアルホワイトバランス設定で選んで登録し、その設定で複写してやればいい。
つまりオレンジのベース色をカメラに「これは白でっせ」と認識させるわけだ。フィルムの種類によってオレンジベースの色が違うので、空いているメモリーカードに各フィルムごとのベース色撮影データを撮って保存しておけば呼び出して使える。
こうして複写したデータはPhotoshopで反転するのが手っ取り早いが、お高いアプリなのでフリーウエアの画像処理アプリで何とかならないかと探してみたのがコレ。
GIMPはその筋では有名だが、そこまでの機能はいらないのでpaint.netというのを使ってみたが軽い、わかりやすいアプリなのでこれで十分であった。
実際の実験結果をどうぞ。
1990年に心斎橋大丸をリバーサル(ベルビア50)で撮影したものから複写。画像クリックで拡大。
同じく1990年地元の漁港の朝日をリバーサル(ベルビア50)で撮影したもの。画面クリックで拡大。リバーサルの場合RAWで複写してデジカメの付属アプリやLightroomなどで原版に合わせた画像調整ができるのがいいところ。
カラーネガフィルムをホワイトバランスオートで複写。オレンジ色のベース色が全体にかぶっている。
これを反転するとこのとおり、全体に真っ青。画像処理アプリで補正することはできるが手間がかかる。
こちらは最初にオレンジ色のベースを撮影し、その画像をマニュアルホワイトバランスの設定に登録して撮影したもの。
反転一発でここまで正確な色調になる。RAWで撮影しても画像処理アプリでは開けないので、いったんJPGで書き出すか最初からネガに関してはJPGで撮影するのがいいかもしれない。LightroomならJPGでもRAWデータと同じように補正できるのでオススメ。
写真は30年前の1985年に撮影した垂水警察署。フィルムは富士フィルムのHR400。建物は次の年まで警察署として使われた後解体され保存、その後丹波篠山にある観光施設「お菓子の里丹波」に移築され現在はカフェとして使われている。
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