ペトリカラー35(PETRI Color 35)
若かりし頃、入り浸っていた喫茶店で記念写真を頼まれたことがあった。
ローライ35という小さな工芸品のようなカメラを手渡され、4人の集合写真を撮ったのだが、普通のカメラの操作とはおよそかけ離れた操作をしなくてはならない、なんとも使いづらいカメラで、何とか撮ったのだが出来上がった写真はすべて首無し写真で、えらく怒られた覚えがある。
一眼レフしか使ったことが無かったため、この手のカメラの事情が良く分かっていずにファインダーいっぱいにフレーミングしたのが原因だった。プリントで更に一回り小さくトリミングされたため首無し写真になってしまったのだ。
自分のミスを棚に上げ、それ以来ローライ35というカメラが嫌いになってしまった。このカメラを愛してやまない方には申し訳ないが、小型化のためとはいえ、操作にストレスを強いられるのはバツなカメラだというのが自分の中での位置づけである。
15年以上前のある日のこと、たまたま入った中古カメラ屋さんで、小さなカメラを見つけた。
大きさはローライ35とほぼ同じぐらい、トップカバーに小さなダイヤルが前後に二つ、前はシャッタースピードで中心にレリーズボタン、後ろは絞り、マニュアル露出のカメラであることはすぐに分かった。
さっそくショーウインドーから出してもらい説明を聞きながら操作してみた。手のひらに収まるぐらい小さなカメラなのにすごく使いやすいことに驚いた。たまたま財布に手持ちがあったことが災いして(幸いして?)そのカメラを買ってしまった。
ペトリカラー35である。1968年発売、栗林写真工業株式会社製。ペトリといえば一眼レフのイメージしかなかったのだが、こんな素敵なカメラも作っていたのである。
試写をしてみると、コマ間に多少のばらつきがあるものの実によく写るし、しまうときにはレンズがわずかだが沈胴して更にコンパクトになるのも気に入ってしまった。フィルム巻上げも軽くスムーズで使っていて気持ちのいいカメラである。
このカメラがきっかけになって、その後古いカメラが増えていったのである。
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コメント
こんにちは。
1968年当時、私は貧乏学生でした。
カメラには興味をもっていて、カメラ店のショウーウインドウを眺めてはため息をついていました。
ショーウインドウの中央には前年に発売されたライカM4が輝きを放っていました。
プライスカードには天文学的な数字が並んでいました。
その隣にこのカメラがありましたが、プライスは2万円を少し超える程度で、アルバイトをすれば何とかなりそうな感じでした。
カメラを入手したのはその2年後後でしたが、このカメラではありません。
人がもっていないものにしようと、選んだのは少し高いミノルタオートコード3でした。
価格は2万7千500円でした。
購入後まもなく製造中止になってしまったので、今も大切に使っています。
投稿: Shinmatsu | 2014年8月 2日 (土) 08時24分
Shinmatsu様、コメントありがとうございます。MINOLTA AUTOCORDⅢですか。確か二眼レフブームが終わった後もかなり長い間作り続けてくれていたカメラでしたよね。私も大好きなカメラで愛用しております。ハラキリと言われたピント調節は使いやすいですね。最近は老眼が進んでビューレンズ上のシャッタースピードと絞りの表示が見えずらいのですが手放せません。
投稿: よもかめ亭主 | 2014年8月 3日 (日) 13時39分