現像所がダメにしたのか
その昔、テレビといえば白黒だった。後にカラーテレビが出てきたとき、名前の前に「カラー」と付けて区別していた。
しばらくしてカラーテレビが当たり前になるとテレビといえばカラーテレビを指すようになって区別どころか白黒テレビは廃れていった。
液晶テレビや液晶モニターもそう、出始めは珍しがられたが当たり前になると、ブラウン管のテレビやモニターは消えていった。電卓とそろばんも、CDとレコードも、ビデオテープとDVDも皆同じ。
今カメラというとデジタルカメラを指す、フィルムカメラを思い浮かべる人の方が少数派だろう。生産台数も圧倒的にデジタルカメラの方が多い。
実際デジタルカメラは実に便利である。写真を撮る行為はデジタルもフィルムも変わりはないがその後がまるで変わってしまった。
撮ったその場ですぐ確認、友達に見せたり、失敗してもすぐ撮り直せるスピード感はフィルムではどう逆立ちしたってできないことだ。
ただ、その便利さだけがフィルムを片隅に押しやってしまったのかと考えるとそれだけでは無いような気がするのである。
デジタルカメラがじわじわと勢力を拡大しつつも、まだまだ画質の面でフィルムにはかなわなかった頃のこと、イルフォードXP2というカラーネガと同じ現像処理でモノクロネガが得られるフィルムで撮影後、写真屋さんに出しに行ったのだが、受付のスタッフは見たことのないフィルムだったらしく、現像できないの一点張り。
ふつうのカラーネガと同じC-41処理だからと何とかコンコンと説明し預けたのだが、店を出て数メートル歩いたところで追っかけてきて「やっぱりウチでは預かれません」。
呆れかえって断念したが、写真屋さんの受付にいながらフィルムや現像の知識がまるでないのはどういうことか。
さらに、時間が無くスピードプリントの看板を見て入った写真屋さんで同時プリントを頼んだところ、確かに早かったがとても見られたもんじゃないプリントの仕上がりにがっかり。
文句を言うと「ウチの標準的な仕上げなんですけどね~」。写真のクオリティは維持しつつスピード仕上げができるのが売りだと思っていたのが大間違い、ただ早いだけ。こんな写真受け取ってもアルバムには貼れない。
焼き増しを頼んだら素手でネガを触りまくり、現像とプリントを仕事にしているのなら手袋ぐらいしなさいよ。
45分スピード仕上げだの、0円プリントだの、あのころは街中にたくさんの写真屋さんがあって便利だったが、どこも質は低く、研修を受けて機械の操作をしているだけの、ろくに写真なんて撮っていないスタッフが多くてお話になりませんでしたな。
モデルチェンジのたびに高画質になっていくデジカメで撮って、おうちのインクジェットプリンターで出したほうがきれいとなればわざわざ写真屋さんには行かなくなるのは当然のことで。
「写真屋さんに出したらやっぱりきれい!」を維持できなかったこともフィルムを衰退させた原因の一つだと思っているのですが。
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コメント
同感です、昔ながらの写真屋さんでも代が変わると終わりのようです。
安い所は新人が入ったりすると更に駄目です。
投稿: よこ | 2014年5月17日 (土) 09時30分
よこ様、「写真のことば」という写真屋さんに置いてあるフリーペーパーがあるのですが、これの第一号で写真屋さんの未来について特集しています。http://www.shashin-kotoba.com/
こういうのを見るとまだまだ写真屋さんを信じたくなります。
投稿: よもかめ亭主 | 2014年5月18日 (日) 11時05分