彼女の名はマミヤスケッチ
マミヤスケッチのことについてしばらく書いてなかってので、初めて出会った時の思い出など。
そのとき私は、今ほど古いカメラにのめりこんでなく、当然のことながら、このカメラについて全く何の知識も無かった。
某私鉄沿線の初めて訪れた街で、商店街や路地をうろつき写真を撮っていたとき、たまたま通りかかったごく普通のどこの街にでもあるような写真屋さんの奥のショーケースにに中古カメラが並んでいるのを見かけて、冷やかしのつもりで入ってみたのである。
手頃な国産カメラの棚に気をひくようなものが無く、ライカやコンタックスなど高い外国のカメラの並ぶ棚には興味が無いので素通りしかけたとき、彼女と目が合ってしまった。
なぜ高い外国のカメラと一緒に並べられていたのかは今となっては分からない。グレーというより鼠色といった方がふさわしい合成皮革の貼革はすっかりくたびれて、周りのカメラの中で一番地味な存在だったのであるが、横幅の狭い小柄なボディーは、偉そうに並ぶライカやコンタックスに混じってひときわ小さくかわいらしく見えた。
ショーケースから出してもらうこともせず、その日はそのまま帰ったのだが、後からどうにも気になってしょうがない。名前も知らないカメラだったがMAMIYAの文字があったこととボディーの形状の記憶を手がかりにネットで気長に調べていると出てきた。
マミヤスケッチ、1959年(昭和34年)発売、35ミリフィルムで、24×24ミリの正方形の写真が撮れる……
「35ミリでましかく写真?」
ましかく好きの私は、居ても立ってもいられなくなって次の休日もう一度その写真屋さんに出向いた。
「ちょっと珍しいカメラでね、正方形の写真が撮れるんですよ」、店の主人が裏ぶたをはずして中を見せてくれた。
手にすると見た目よりはずしりと重かったが、なんともチャーミングで、マミヤがこんなカメラを作っていたとは思えなかった。貼革は年月のせいでひび割れ、ポロポロ落ちる状態だったが、レンズはきれいで、シャッターも全速大丈夫だったので、もう出会えないかもしれないと思い、即決お持ち帰り。
丹念に汚れを落とし、貼革をはがして、茶色の本革に着せ替えてやった。
すっぴんでライカやコンタックスよりも輝いていた彼女である、きちんと化粧をしたら見違えるような日本美人になった。
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コメント
写真でしか見た事が無いのですが素敵で可愛いカメラですね。
ましかく写真と言う事は少し多めの撮影枚数になるのでしょうか?
私のましかく写真はオリンパスメタル6だけなのですがまだ試し撮りが終わってません。
この時期晴れれば忙しいし、雨じゃ写真と言うわけには行かない、これから桜も咲くのにストレス溜まります(泣)
投稿: よこ | 2014年3月30日 (日) 21時12分
神戸は今日明日が花見のピークになりそうですが、えらく寒いです。昨日の風で散り始めているところもあります。
マミヤスケッチですが、発売当時は12枚撮りと20枚撮りのフィルムが主流だったので20枚撮りで30枚撮れました。フィルムカウンターは37枚目まで目盛りがありますが。私のマミヤスケッチは改造を加えて、今の36枚撮りフィルムが使えるようにしています。約55枚撮れますが、フィルムカウンターは一周以上してしまい、あまり役に立ちません。(笑)
投稿: よもかめ亭主 | 2014年4月 5日 (土) 12時52分