T90が活躍できなかった場所
キヤノンT90はオートフォーカス以外はすべて盛り込んだといっても過言ではない最高のスペックを誇ったカメラであった。
単三電池たった4本で秒4.5コマのモータードライブ内蔵、電池の持ちもすごく良かった。フラッグシップ機のNewF-1のサブカメラとしてプロの愛用者も多く、スペックだけで比べればNewF-1を超えていたとも言える。
私にとって一番たくさん写真を撮ったカメラである。
これだけの高性能でありながらT90には、プロ用機NewF-1を超えられないところがあった。
スペックだけがプロに求められるわけではないということである。
若い頃、入り浸っていた写真屋さんでいつも写真の話をしていた友人がいた。
彼は鉄道が好きで国鉄に就職したぐらいの鉄チャンで、給料のほとんどを写真につぎ込んでいたので装備もハンパでなかったが、写真のウデ前もハンパでなかった。
いつも数台のNewF-1と、プロでもおいそれと買えないようなレンズを4WDの車に積んで鉄道を撮りに行っていた。ある日のこと、彼が怒りながら店にやってきた。
聞くと、廃止になる青函連絡船を撮りに行ったところ、あまりの寒さに電池が消耗してしまい、T90は全く役に立たなかったのだそうだ。
彼いわく「開いた時刻表を押さえとく重石にしかならんかったで」。
こんな厳しい状況でも、機械と電子のハイブリッドシャッターのNewF-1は問題なく写真が撮れる。対して電気ですべてを動かしているT90は電池がなくなればただの箱。プロ用カメラとの格の違いはこんなところに現れるのである。
気候の厳しいところへ行くことの無かった私は、神戸の街をT90に24ミリレンズを付けて徘徊しておりました。これは某カメラ雑誌に掲載して頂いた写真。確かテレフォンカードを貰ったような記憶がありますな。
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