焦点距離年齢説でいくと…
写真家の高梨豊氏の経験説によると、焦点距離年齢説というのがあるらしい。
生理的にしっくりくるレンズの焦点距離(35ミリ判換算)と年齢は一致するのだそうだ。
この説は最近になってよく分かる様な気がしている。私は50代なので、50ミリ前後のレンズがしっくり来るということになるが、確かにそれは感じる。
若い頃は24ミリの広角レンズがとにかく好きで、そればかりで撮っていた。広角レンズの遠近感を生かしてというのではなく、撮りたい気持ちが前に出てしまって一歩、二歩どころかズンズン前へ踏み出してしまう勇み足な部分を広角レンズの強い遠近感がちょうどいい距離感に引き止めていてくれていたのだと思う。
路地裏や、建物の隙間とかの引きの無い場所に入り込んで撮っていたので広角レンズでちょうどいいというのもあった。
そのころ撮っていたのを見ると、いろんなものがいっぱい入った暑苦しい写真。
食事で言えば濃い味付けのおかずにさらに醤油やソースだぼだぼ、それでご飯わしわしという感じだろうか。
広角は好きなので今でもよく使っているが、だんだん50ミリ前後のレンズを使う頻度が高くなっている。
大好きな50~60年代の国産カメラは大体そのあたりの焦点距離のレンズがついているので、お気に入りの一台にフィルムを詰めて、さらっと撮り歩くというのが楽しい。
被写体に対して、ちょっと距離があるというか、客観的というか、突き放すまでの冷たさはないが、抱きしめるほどの暑苦しさはない、ただ見つめているという感じが何となく素直でいい。
ちょっと気の利いた料理で旨い日本酒を頂くような、腹を満たすというより心を満たすそんな感じのする焦点距離のレンズ達である。
2009年 小倉 Canon Demi EE17。ハーフサイズの30ミリレンズなので35ミリ換算で約44ミリ。
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