モノクロ病
写真をやっている人が、かなり高い確率でかかる病気がある。過去にこれに対する免疫のない人が、この病に冒された場合、自分の写真がいきなりゲージツになったという錯覚を起こしてしまう危険があり、そのまま深みにはまるおそれがある。その病の名は「モノクロ病」。
ず~っとモノクロ一筋、もしくは、これが大半という人はこの病気にはかからない。というよりすでにそういう体質の人なので関係がない。
かかりやすいのは、写真は同時プリントしか知らないという人や、カラーでしか撮ったことがないというモノクロ免疫のない人。たまたまタダ券をもらったので見に行った写真展なんかで、モノクロ写真の美しさに衝撃を受けてしまい、急に発病する。写真をあまりよく知らない人なら、勢いで写真専門学校の一日体験入学(暗室作業含む)に申し込んでしまうかもしれない。(オイオイ)
そこそこ写歴のある人なら、まずモノクロの入門書なんぞを買って読み、その後ヨドバシで暗室用品一式を、ボーナス払いで買ってしまうかも。(ナイナイ)
免疫があるのにかかりやすい人というのは、写真を始めた頃、押入を暗室にしてチマチマとモノクロ現像や焼き付けをやっていたというような人(私だ私)。
自分の写真の始まりがモノクロで、その時どっぷりと病原菌に感染しているのだが、諸事情により遠のいてしまっている人は、潜伏期間中の病原菌と抗体のバランスが崩れたときに突然発病したりする。
コトがモノクロ写真だけに自分の気持ちにも白黒をつけなくてはと思い、いろいろとモノクロ写真を始める理由を考えるのである。純粋にモノクロの濃淡だけで、写真を定着させたい。色彩があふれるこの世のすべてのものを単色の諧調だけに置き換えたときに見えてくるものを追及してみたい。などと大義名分をつけだしたらもう重傷である。
こういう人は、なまじ暗室作業の醍醐味を知っているだけに始末が悪い、やたら本格的に走ってしまうおそれがある。思いこんだら家族の反対何のその、自宅の増改築をしてまで暗室を作ってしまう人もいるかも。(ナイナイ)
ゆえにモノクロ病は恐ろしい。魔力的な魅力がある。私は暗室をもつ余裕はないが(ヨカッタ)デジタルな暗室なら持っている。アナログな暗室ほどの醍醐味はないにせよ、今の自分には十分な「今時な暗室」である。
フィルム現像なら暗室はいらないので、以前使っていた道具を引っ張り出せばすぐにでも始められるが、もっと簡単に楽しむためにカラーネガフィルムと同じ現像に出せるモノクロフィルム(イルフォードXP2スーパー、コダックBW400CN)を使って楽しんでいる。
撮った後はフィルムスキャナでデジタル化し、デジタル暗室で仕上げるわけだ。
そんなまどろっこしいことをしなくても、最初からデジタルカメラの設定をモノクロにして撮ればと言う声も聞こえそうだが、チッチッチッ違うんだな~これが。仕上がったネガをライトテーブルで見ながらどういう写真に仕上げるか作戦を練るのが楽しいのだ。
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