オトナになったら買ってやる。NewF-1
小さな頃、親にモノをねだると、オトナになって働いてお金持ちになってから自分で買いなさいとよく言われた。
そうか、オトナになったら買ってもいいのかと思い続けた少年がオトナになって買ったもの、チロルチョコを箱で。いわゆる「大人買い」というヤツですな。チョコレートは大好きなので、自分で稼ぐようになって好きなだけ買って食べた。
他にパルナスのピロシキ、ユーハイムのバームクーヘン、コスモポリタンのチョコレート。洋食屋さんやカウンターだけの寿司屋に一人で行くこと。なんか食べ物ばかりなのが情けないが、食べ物以外ではステレオやラジコンなど。誰にも文句を言われずに自分の稼ぎで買えるのがオトナな感覚だったのである。
カメラもそうだ。買えないのでカタログばかりもらってきて眺めていた。そうして働くようになって自分でカメラを買えるようになっても手が出なかったカメラがある、それがキヤノンNewF-1。
初代のF-1の発売が1971年、完全プロ仕様で「向こう10年間は後継機を出さない」と言っていたのだが、約束通り10年後の1981年、後継機NewF-1は登場した、まさしく憧れであったが、働き出して数年目、まだ安月給でとても買えるものではなかったのである。プロ仕様というステータスもあっておいそれと近寄れないオーラのあるカメラだった。
いつかはと思いながら、そのときの自分の収入で何とか買えるカメラということでA-1と24mmレンズを買った。今思えば正しい選択だったと思う、身の丈には合っていた。A-1で撮ることの面白さを知りその後T90を買い足しカメラへの憧れより撮影そのものにのめり込んでいった。
その後時代はオートフォーカス全盛となり、EOSに乗り換え機材を揃えていき最終的にフラッグシップ機のEOS-1Nに行き着いた。NewF-1は憧れのまま記憶の彼方に消えていったのである。
時代はフィルムからデジタルへと雪崩のように様変わりしつつある頃、行きつけの中古カメラ屋さんのショーウインドーにNewF-1があった。
びっくりするぐらいきれいな状態で、ほとんど使われていないのはすぐ分かったので冷やかし半分見せてもらったのである。デジタルに押され、フィルムカメラの値段がどんどん下がっていたこともあって、往年のフラッグシップ機としてはちょっと悲しくなるような値段が背中を押してしまい気が付くとカバンの中に包みがあった。
帰ってさっそくレンズを付けて使ってみた、憧れが今ずっしりと手の中にある幸せを噛みしめつつ、それから毎日持ち歩いた。
バッシャンという独特のシャッター音に酔いしれつつ、プロ仕様のカメラがどういう物かよく分かったのである。
あのころの憧れはオトナになってから長い遠回りの後現実になった。
このブログのタイトルバナーにもNewF-1を登場させている。私にとって世界一カッコいい一眼レフカメラである。当時A-1と一緒に買ったFD24mmF2.8をつけて。花形のレンズフードもつけたかったがあまりにボロボロでお見せできるシロモノでないので外して撮影。神戸三宮、カラーネガ現像できるモノクロフィルムで撮ったもの。自家現像はもうずいぶん前にやらなくなったのだが、たまにモノクロが使いたいときにはこのタイプのフィルムで撮っている。
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