デミの話をもう少し
前回EOS Mとデミのことを書いたのだが、その続きでデミのことをもう少し詳しく書きたい。
後発で発売された分、オリンパスペンとはことごとく違うのが面白いカメラである。
キヤノンの意地っ張り度満載というか、真似だけはしたく無いというか、いい意味でキヤノンらしさが感じられるのだ。
まず、ハーフサイズカメラとしては小さいとはいえないボディーサイズだが、角の部分が丸まっているので実際より小さい印象を受ける。
そのため写真を撮る道具というより、気軽にカバンに放り込んでおきたくなるようなカメラらしからぬかわいらしさを感じる。
デザインのうまさというか、質実剛健がそのまま形になったようなペンに対して、日本のカメラらしくないお洒落な小道具といった印象だ。
デミという名前といい、フランスを意識しているのではと勘ぐりたくなる。
操作性はペンも十分に使いやすいのだが、それにさらに使い心地をプラスしたようなスムーズさが実に快適だ。
特に巻き上げレバーは当時の高級機と同じ様に小刻み巻き上げが出来、重からず軽からず滑らかで、大きさも丁度よく実に使い良い。
ハーフサイズなので、巻き上げ回数も2倍になるわけで、巻き上げがスムーズなのは結構重要なのだ。
通常はフラットだが使用時にちょこんと飛び出す巻き戻しクランクもスムーズである。
ファインダーについてはずいぶんお金がかかっているなと感じる。レンズ4枚とプリズム3個のブロックによるケプラー式、普通なら安くできるガリレオ式ファインダーを採用するところなのに実に贅沢な造りである。
当然ながらその見え方はすばらしい。部屋の中で覗いていると実際よりも部屋がきれいに広く見えるほどだ。レンズの中心の上に付いているため構図にずれがでにくいのもいい。ただ、凝ったファインダーのため、プリズムが腐食してしまっているものがある、中古カメラ屋さんで選ぶとき注意するべき点だ。
レンズはキヤノンSH28ミリF2.8、ビハインド式シャッターを採用しているため全長が短くボディの出っ張りが少ないためカバンからの出し入れがしやすい。
ピントは「人物(1m)、人物三人(3m)、山(15m)」のアイコンを選ぶゾーンフォーカス、裏ぶたに距離表が付いていてアイコンがどれぐらいの距離を示すのかがわかるようになっている。レンズはよく写るしハーフサイズは被写界深度が深いので充分きれいに撮れる。
カラーデミという名で赤、青、白のカラーバリエーションも発売されていたが、これってフランス国旗の色なので、やっぱりフランスを意識してますな。
私の持っているのは青デミ、セレンがダメでメーターが振れてないのを100均のソーラー電卓の太陽電池と換装して使えるようにしたもの。
もしメーターが動かなくてもレンズのリングを回してフラッシュマークを指標に合わせればシャッタースピードが1/30秒に固定されるので任意の絞りを選んで撮影は可能だ。
さらに単体露出計を持っているのなら絞り優先でシャッターも1/30秒に固定されずに使うことができる。デミのプログラムシャッターは1/30秒で絞りF2.8(LV8)から1/250秒で絞りF22(LV17)の間でシャッター速度と絞りの組み合わせが決められているので、それを逆手に取って露出計をEVモードにして光を計りそれに対応する絞りに手動絞りレバーが来るようにレンズのリングを回してやればよい。
ちなみにLV(EV)8はF2.8、9.5はF4、11はF5.6、12.5はF8、14はF11、15.5はF16、17はF22である。私はこれをラベルプリンターで作ってカメラ背面に貼っている。
メーター不調で値段が安かったり、ジャンクワゴン行きになったデミももう一度活躍できるというものだ。
とにかく使い心地のいいカメラである、使ってやらない手は無い。大きさもデザインも、写りもいいお洒落な一台である。
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