EOS Mとキヤノンデミ
昨年、キヤノンから満を持して登場したミラーレス一眼のEOS Mは後発でありながら、あまり新鮮味を感じないカメラだった。
触ってみるとそれなりにまとまっているのだが、キヤノンらしく無いというか、出遅れた分一気に巻き返してやるぜというオーラが感じられなかったのだ。
主力の一眼レフEOSシリーズと旨く共存したいというか、同じ会社の製品同士で市場の奪い合いはしたく無いというか、なんか煮え切らないものを感じてしまった。
1959年に発売されたハーフサイズカメラのブームを作った名カメラ、オリンパスペンから遅れること4年、1963年にキヤノンからハーフサイズカメラのデミが発売されている。
満を持しての発売というか、出遅れた分ペンとは全く違うアプローチが個性的だったのであろう、当時のカメラ雑誌でよく取り上げられている。広告も斬新で力の入れようがよくわかる。
ペンのハーフ判に対してデミ判、半分という意味を英語で言うか、フランス語で言うかの違いだけなのだが、後発で同じハーフサイズカメラを発売しながら先に出したメーカーとは違うのだという変な意地の張り方がキヤノンらしくて面白い。
当時の写真雑誌の広告を見ると「ポケットからデミを出そう」、「世界一斉発売!」のキャッチコピーの下にカメラのアピールポイントの説明が続き、最後に当分は品不足が予想されるのでデパートでの予約を促すという最初から売れることが前提の強気の広告展開をしている、ペンの快進撃がよほど悔しかったのだろうか。ペンとデミふたつのカメラを見比べながらそんなことを思ってしまった。
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