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2015年11月15日 (日)

映画「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」

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映画館で買ったパンフレットの表紙。A5判、文字が小さすぎて老眼には辛い、700円也。

いつも巡回しているある方のブログ記事でこの映画のことを知りました。全然ノーマークというか全く知りませんでした。公式サイトを見て、写真好きとしては、これは見ておかなくてはならないなと思った次第。
早速上映映画館を調べてみると、シネ・リーブル神戸で10月30日から上映中、50歳以上だと夫婦で割引があるので家内と観てきました。歳だけ食ったオジサンも何かの役に立つのですな。(笑)
映画のあらすじは、シカゴの歴史資料を探していたジョン・マルーフという青年がオークションで大量のネガフィルムの入った箱を380ドルで落札したことから始まるのですな。
資料としては使えない写真でしたが、もしかしたら価値があるかもしれないとブログに写真をアップしたところ想像以上の大反響、ただ撮影者のヴィヴィアン・マイヤーという人を検索しても全くわからずじまい。さらにネガフィルムを買い集め、2年ほどして再び検索してみたところ、ヒットしたのは数日前に死亡したという記事だったという残念な結末。
彼は何とか手がかりをと生前のことを知っている人を捜し出すのですが、なんと彼女は写真家でも何でもなくナニー(乳母)だったと知るわけで。
ナニーって何~?だったのですが、英語で乳母のことをナニーって言うのですな、ひとつ賢くなりました。ちょっと脱線。
なぜ乳母を職業にしている人が、15万点以上もの素晴らしい写真を全く世に出すことなく撮り続けていたのか、その謎を解くためのヴィヴィアン・マイヤー探しのドキュメンタリーがこの映画なのであります。
いや~観終わって、興奮さめやらぬ内にこの記事を書いておりますけどね、こんなすごい写真家が埋もれていたなんて。
ドキュメンタリー映画なので娯楽映画のようなストーリーなんて有りません。ただ丹念にインタビューを重ね、ヴィヴィアン・マイヤーの人物像に迫るという内容、時々画面に映る彼女の撮った写真がどれもすごすぎましたな。
ジョン・マルーフという青年に発掘されたことは、彼女にとっても写真界にとっても幸運としかいえません、彼は最初大量の写真の管理を美術館に依頼しますが、無名どころか写真家でもない人の写真など見向きもされません、それで腹をくくって自分でやることを決めるのですが、結果的にアメリカだけでなくいろんな国で写真展が開催され大絶賛、写真集も出版され、その年の写真集売り上げNo.1に、そしてこの映画にもなったという。
美術館という組織というかその筋の権威が認めなくても、一般の人の賞賛によって写真家ヴィヴィアン・マイヤーが認知されていったのは、彼女の撮った写真の力以外の何物でもありませんが、ジョン・マルーフ青年の行動力のおかげでもありますね。
写真家を取り上げたドキュメンタリー映画ですと「ビル・カニンガム&ニューヨーク」 を以前見ましたが、今回観た「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」の方が遙かに素晴らしかったですな。
丹念なインタビューで浮かび上がってくるヴィヴィアン・マイヤー像は、世間の一般的な常識からすると、変わり者だったようで、そのあたりは映画を観てもらえば分かりますが、プライベートは全く見せない徹底した秘密主義だったり、何でもかんでも溜め込む癖があったり謎だらけ、さらにあれだけの写真を撮り続けながら、生涯一度も公表しなかったことが最大の謎という人。
撮った写真はもう素人じゃない、ぶっちぎりのクオリティというかプロの写真家でもあれだけの写真は撮れないんじゃないかと言うぐらい素晴らしいものでありながら、写真家ではなくて乳母だというギャップ。
しかも本人は亡くなられていて真相は全く分からない。ドキュメンタリーでありながら、ミステリーな側面もある映画でした。
オジサンの勝手な見解ですが、ヴィヴィアン・マイヤーって人は、自分の生きている時代というか、存在している今をカメラで採集していたのではないかなぁと、たくさん撮っているセルフポートレイトも、その中にいる自分を客観的にとらえる行為だったのかなぁと思ったのでありますよ。
採集した写真を溜め込むことで完結してしまって、それを公表することは考えてなかったんじゃないかと。
たくさんの国で写真展が開催されているので、日本でもぜひ開催して欲しいと思っておりますよ。
久々にいい映画を観ました、ヴィヴィアン・マイヤーという「写真家」を知ることができたのは最大の収穫でした。

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写真とカメラ、あれこれ」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。

行かれたのですね。
興奮されたご様子(笑)ご紹介のし甲斐がありました。
静岡では来年1月末に公開なんです…とても待っていられないので、amazonでDVDを注文してしまいました(笑)ただ、日本語字幕のあるDVDは販売されていない為、英語のUSA版を購入(笑)言葉の壁を乗り越えられるほど英語の勉強をしてこなかった自分を責めておりますが、今更どうにもならないので雰囲気だけでも味わいたいと思っております。USAの販売店から発送されている様ですが、注文からそろそろ2週間経過…。何時になったら観る事ができるのやら(笑)

投稿: 想桜 | 2015年11月15日 (日) 14時24分

想桜様、こんにちは。
素晴らしい映画を教えていただきましてありがとうございます。英語版DVDですか、私には絶対無理です。英語さっぱりわかりません。(笑)DVDも写真集も日本語版が出るのを待とうかと思っております。写真は、http://www.vivianmaier.com/で見れますので、それで楽しんでおります。

投稿: よもかめ亭主 | 2015年11月15日 (日) 15時37分

こんにちは 亭主様。

ネットにアップされている写真をチラ見しただけですが、
いやぁ凄いです!!。
まさに、時代を切り撮ったって感じがします。

この方、世界旅行をされて アジアにも(東京にも?)
こられた事があるとか。
それらの写真も、是非拝見したいものですね。
 

投稿: 鍛冶屋 | 2015年11月15日 (日) 19時46分

鍛冶屋様、こんばんは。
発見者でもあり、映画の監督でもあるジョン・マルーフ青年のインタビューで東京で撮ったものらしいとの言葉がありましたね。まだまだ何が出てくるか、楽しみでありますが、まずは日本での写真展を開催していただきたいと思っておりますよ。

投稿: よもかめ亭主 | 2015年11月17日 (火) 22時59分

よもかめご亭主さま
遅ればせながら、京都シネマで観て参りました。ゲージュツ映画なのかなぁ...と正直あんまり期待していなかったのですが...... いや、すごいですね! ぐいぐいと引き込まれてしまいました。テンポの良い構成、インタビューと「映像」がミルフィーユのよう編集に編集が重ねられている、とても上質のドキュメンタリー映画であって、人間のある種の「深さ」を掘り下げる「物語」でもありました。いや、行ってよかったです。ありがとうございます。
今年は大変お世話になりました。来年もまた楽しくためになるブログに期待しています。
良いお年をお迎えください。

投稿: 旅芸人 | 2015年12月30日 (水) 16時59分

旅芸人様、こんばんは。
ジョン・マルーフ青年の行動力がそのままこの映画のテンポの良さにつながっているといえますよね。ドキュメンタリーなのでどうかなと思ったのですが、久々にいい映画でした。
駄文雑文のブログですが、何かのお役に立てたのならありがたいことです。こちらこそ、来年もよろしく、良いお年をお迎えくださいませ。

投稿: よもかめ亭主 | 2015年12月30日 (水) 20時04分

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