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2014年12月21日 (日)

建物ウォッチング

自称「街角写真家」。街の写真を撮り続け、その興味は尽きることなく、カメラ片手に街をうろつく。
街の写真などというとその守備範囲はとてつもなく広い。であるからして街並みへの興味はもちろんだが、建築物への興味もかなりなのである。特に古い洋風建築、造形的におもしろい建築物にはめっぽう弱い。色彩ギトギト、看板ギラギラというのもいいなあ。
結局、節操もなく何でもアリの写真なのでありますが、建物というのはそれが建てられたとき、時代が移って味がでてきたとき、朽ち果てて取り壊されるときと一粒で三度もオイシイ物件なので、おもしろい建物に出会うと何度となく出かけて写真を撮ってしまう。
ご存じの通り神戸は震災のせいでかなりの数の洋風名建築が無くなってしまった。手元にある「神戸の近代洋風建築(1990年 神戸市教育委員会刊)」を見ても今となっては写真でしか見ることのできない建物が結構ある。
私が好きなのは栄町や海岸通のオフィス街にある今も現役で使われているような建物。北野町のような観光名所の観光客に媚びたような建物は興味がないのでパス。
観光名所になる前の静かで落ち着いた北野町を知っているので、なおさら今のあのあたりには興味がなくてほとんど近づきもしない。観光名所というのは地元の人間はなぜか以外と知らないし行かないものなのである。
建物というのはいつかは老朽化して取り壊される物だと思っている。これは仕方がないことだ。
30年近く前、写真雑誌の投稿が縁で知り合った大学生が建築物ウォッチングと路上観察のサ-クルのようなものをやっていて、三宮の海岸通にあった旧神戸商工会議所の保存運動に参加してほしいといわれたことがあったが、行かなかった。
確かに美しい建物で、子供の頃、家族で三宮に出かけたとき、車からこの建物が見えると三宮に着いたとホッとしたことが思い出である。
乗り物酔いがひどかったので車に乗るのが苦痛だったのだ。この建物が見えるまでじっと黙って我慢していた。いまだに側面の丸窓と入口の重厚な円柱をはっきり覚えている。
確か老朽化した建物の修復にかかる莫大な金額を持ち主が捻出できず取り壊されたのだったと覚えているのだが、一時保存をめぐって新聞などでも取り上げられ市民運動として大いに盛り上がったのだが結局取り壊されてしまった。
建物にも運がある。運良くどこかに移築され保存されるものもあれば取り壊されてしまうものもある。
保存ではないが残す方法として、神戸地方裁判所のようにすばらしい建物の外側だけを残して上に高層建築を作る例もあるが、これはバランスが悪くてみっともない。
今時の機能的なだけのビルと明治の威厳のある頑固オヤジのような建物がうまく融合するはずもなく、とても不細工な有様になってしまった。こんな姿をさらすのならいっそ取り壊してくれた方がいいと思っている。
小学生の頃、名古屋に住んでいた伯母に犬山市にある明治村に連れていってもらったことがあった、広大な敷地に明治時代の名建築物を移築した博物館のようなところである。
ほとんどの建物の内部に入ることができて、動物園なんかよりよっぽどおもしろかった。そのとき買ってもらったガイドブックをいまだに持っているが、私の建物への興味はそのころ芽生えたのかもしれない。建築物に興味のある方は一度行ってみてはいかがか。
街歩きでちょっと素敵な洋風の建物に出くわすとうれしくなってしまう。
古い商店街などで、昔は羽振りが良かったのだろうなと思わすようなハイカラな建物などである。
古い建物だけが興味の対象ではない。今時の建物でも気に入ったものは結構よく写真に撮っているし、それはそれで今時の街の景色だと思っている。
気に入る、気に入らないは建物の出すオーラというか、フェロモンというかそういうそそられるものが有るか無いかでしかない。
有名建築デザイナーが設計した超今時な建築史にも残るような建物であっても、そそらなければカメラを向けることさえしない。これは撮る側の自由なわがままなのである。
では、どんなものにそそられるかというと、実は案外下町や路地をうろついていて見つけたものにそそられることが多い。
先に述べた古い商店街の洋風建築など、名もない大工さんや工務店の設計者がそのときの流行を取り入れ、精一杯モダンにハイカラに作りあげたような建物が実に素晴らしかったりする。
表向きはビルで、裏に回ると普通の屋根のある家だったり、店の屋号を鏝絵で浮き出させているものや、壁一面をタイルで装飾しているものなど創意と工夫を感じる。
建物にもその時々や業種によって流行があるようで、たとえばタイルで壁を飾るようなのは古い風呂屋やたばこ屋でよく見かけるし、入り口のガラス扉の幅いっぱいに斜めに渡してある真鍮製の取っ手はバーや散髪屋、喫茶店などに多い、巻き上げ式のストライプ柄のひさしは駄菓子屋やパン屋という具合だ。
古い建物についてはいろいろ語る言葉がでてくるのに、今時の建物にはあまり語る部分がないのは結局、機能的で遊びのない建物ばかりが多いからだろう。
無機質感はあるが人の気配がない。この先何十年か経ってこれらの建物に何かそそられるものが出てくるのかどうかは分からないが、写真に撮りたくなるような味わいが出てほしいと思っている。

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現在は建物の外壁だけを残して地下鉄みなと元町駅として残っている旧第一銀行神戸支店、明治の名建築である。上の撮影は1988年、この時点では大林組神戸支店として使われていた、南側から撮影。下は現状、モナカの皮状態が分かる北側からのアングル。

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