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2014年4月 3日 (木)

修理の第一歩、モルト交換

Canon_demi_001blog キヤノンデミの裏蓋を開けたところ、モルトだらけ。

「モルト交換済み」。中古カメラ屋さんの値札に書かれた、カメラのコンディションを表す言葉のなかで、一番目にする表記ではないだろうか。
モルトとは何かというと、モルトプレーンという黒いスポンジで、フィルムカメラの裏蓋の周囲もしくはボディ側の周囲に貼られていて、外からの光が入り込んでフィルムが感光してしまうのを防ぐ役割をしている。
古い二眼レフカメラで、モルトの代わりに黒い毛糸を使っているものもあった。
どういう訳か、日本のカメラはモルトで遮光するのが当たり前みたいなところがあって、これは当時の工作精度や品質のせいなのかもしれない。手持ちの数少ないドイツ製カメラには全くと言っていいぐらい使われていないし、それで問題が起こったことがないので、これは設計や思想の違いなのだろう。
個人的にはモルトを使わなくてもキチンと遮光できるように設計するべきだと思っている。
このモルトが厄介なのは、経年変化で劣化してしまうことだ。弾力がなくなって、固まってしまうのならまだいい方、加水分解でタール状になって接着剤よろしく裏蓋がくっついて開かなくなってしまっていたり、パサパサの粉状になって開けるとカメラの中は粉だらけだったり。
中古カメラ屋さんのジャンクワゴンのカメラの中には機械は動くのにモルトの劣化で汚らしいまま放置されているものも少なくない。
今まで見た中で特にひどかったのがキヤノンデミとリコーオートハーフ、裏蓋にこれでもかとモルトが貼ってあるので、ほぼ間違いなく全滅、裏蓋を開けて「あ~あ」な残念なカメラである。
デミやオートハーフに限らず、古いカメラはたいていモルトがだめになっているので、ジャンクカメラを直して写すことを楽しみとするものにとって、モルト交換は避けては通れない修理の第一歩ということになる。
やってみるとそんなに難しいものではないので、これでカメラがよみがえればやりがいもあるというものだ。
モルトプレーンは中古カメラ屋さんや大手量販店で売っている。シート状で厚み違いが数種類、シールのように裏に糊がついているので必要な形に切って裏紙をはがして貼り付ければいい。
あと薬局で売っている無水アルコールと竹串と注射器。100円均一ショップの化粧小物コーナーに化粧品を携帯容器に詰め替える注射器とボトルのセットが売っている。竹串は幅の広い田楽やつくね用のものの先を削って使うと便利。
実際の作業は、まずデジカメでモルトがどのように貼られているか現状の写真を資料として撮っておき、寸法も測ってメモしておく。
古く劣化したモルトにアルコールを注射器で注し、柔らかくなったら竹串でこそげ落とす、竹串だとカメラに傷を付けないし、先を削ってカメラの形状に合わせられる。
きれいになったらモルトを寸法に切り出し、貼り付けていくわけだが、このときもアルコールを使うと一時的に接着剤が効かなくなるので位置決めがしやすい、特に細い溝にモルトを貼り込んでいくときには有効。
コツは焦らないこと、じっくり時間をかけて丁寧に貼っていく。プロの修理屋さんではないのだから、納得がいくまでやるのが楽しいのだ。
カメラの汚れをきれいにし、モルトを貼替えただけで、なんだか自分のものになったような気分になるのが醍醐味かもしれない。
上手くいったら楽しくなって、さらに深みにハマってしまうかもしれないが、それはそれで幸せということで。

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撮影とカメラ、お役立ち」カテゴリの記事

コメント

光漏れのような感じで使うのをあきらめていたOM-1。モルトプレーンで生き返るのではということに気が付きました。早速手持ちのOM-1で修復してみます。ありがとうございます。

投稿: kawashima | 2015年1月18日 (日) 13時15分

kawashima様、はじめまして。
ぜひチャレンジしてみてください。最初は結構手こずるかもしれませんが、それでカメラがよみがえればやりがいもあると思います。

投稿: よもかめ亭主 | 2015年1月18日 (日) 16時21分

小生も、モルト劣化では、一生モノと信じて使用していたオリンパスOMでがっかりさせられました。愛着を感じ始めていたOMでしたが、使用はやめました。代って使用しているのが、モルトを使用していないロシア製のゾルキーや、分解が楽で、簡単にモルトが除去できるゼニット一眼レフです。国産カメラは、スペックは優れていますが、いずれは劣化するモルトを多用している以上、時限爆弾を仕組まれているような不安な気持ちになります。ロシア製は、スペック上のメリットはありませんが、材質劣化の心配がなく、長期使用には優れています。ゼニット11などは、もう26年も使っています。本当は国産カメラを使いたいのです。材質の劣化がなく、長持ちするというとも、カメラの基本性能ですよね。それから、モルト劣化とともに、レンズのバルサム剥がれにもご注意。これに見舞われると、どんな高価なレンズも無価値になってしまいます。バルサム剥がれは、一眼レフボディの接眼レンズでも起こります。ここのレンズも貼り合わせだったのです。もっとシンプルな構造で作らないものでしょうか。

投稿: | 2015年5月 3日 (日) 23時17分

コメントありがとうございます。
カメラの寿命よりもはるかに短いモルトを使うというのがすでに間違いというか、長く使ってもらおうという気持ちがないのかなと思ってしまいますね。使わずに済む設計をなぜしなかったのかと。

投稿: よもかめ亭主 | 2015年5月 5日 (火) 21時45分

「修理の第一歩、モルト交換」読みました。モルトぐらい自分で張り替えられたらな、と思っていました。でもモルトなしで済むカメラを作るべきとの御意見は初めて。納得です。本当ですね。・・・さてモルト張り替えとなると、のり付きか、厚さは何ミリか。手順や道具は人それぞれ。迷ってしまいます。よもやまカメラさんのやり方、参考になりました。ありがとうございました。近くチャンレンジしてみます。

投稿: | 2015年10月10日 (土) 15時52分

はじめまして、コメントありがとうございます。
私がよく使うのは1.5ミリと1ミリ厚のものです。この2種類で事足りております。最初の内はなかなかうまく貼れなくて何度もやり直してました、焦るとうまく行きませんね。是非チャレンジしてみてください。

投稿: よもかめ亭主 | 2015年10月10日 (土) 16時59分

先ほどは名前を書き忘れました。失礼しました。二度目でした。調べたらファインダーの中にもモルトがあるらしいですね。そこから崩れたモルトの粉がスクリーンに転がっていったり、シャッターユニットに落ちたりするとか。そこまでやるのは無理そうですが、裏蓋のモルト交換はチャレンジします。

投稿: しょうだ | 2015年10月10日 (土) 20時09分

しょうだ様、おはようございます。
モルト交換が修理の第一歩って書いたのは、実はそこから修理の深みにハマっていくからなのでございます。(笑)ファインダー周りの遮光にモルトを使っているカメラだと、トップカバーを開けなくては貼り替えられないので、当然ながら巻き戻しクランクや、シャッターチャージレバーその他ダイヤル類をはずずためのスキルが必要になります。出来るかも?と思って恐る恐るやった結果、うまく行ってしまったらヤバイ(笑)また次もということになって気がつけば修理の沼に沈むということですね。気がつけば中古カメラ屋さんのジャンクワゴンを徘徊している自分に気が付きます。(笑)

投稿: よもかめ亭主 | 2015年10月11日 (日) 07時09分

モルト張り替えやってみました。ヤフオクで買ったミノルタV2。あえなく失敗。よもかめ亭主さんの記事を読み直したら、アルコールで接着面をぬらすというヒントがありました。再チャレンジします。それにしてもモルトの交換って、面倒ですね。トップカバーを開けないと駄目な機種(ミノルタA5?)もあるとのお言葉も参考になりました。しかし、まだまだ私などはヤバくないのかもです。

投稿: しょうだ | 2015年10月27日 (火) 20時50分

しょうだ様、おはようございます。
チャレンジされたのですね。失敗されたそうですが、そんなもんです。私も何度貼り直したことか。そんなに不器用なはずじゃなかったつもりなのに、落ち込みます。結局結論は焦らずじっくりしかありませんでした。(笑)

投稿: よもかめ亭主 | 2015年10月31日 (土) 08時00分

少し時間ができたので再チャレンジです。無水アルコールと竹串と注射器を用意。もう一度溝を掃除し直す。昔おばあちゃんのキセル掃除を手伝った時のことを思い出しました(どうでもよいこと)。今度はアルコールを使ったので割と滑らかに溝に入りました。が、モルトの糊がアルコールでふやけて浮いてくる誤算発生。これじゃあ貼れてもベトベトになっちゃうじゃんと悲しくなりました。それと寸法の測り方が甘くて一部継ぎ接ぎに。でもなんとか第二回目のチャレンジを終えました。結果はアルコールが完全に乾くのを待って判定します。たぶん失敗だろうと思いつつ。(でもモルトなしで撮しても大丈夫なことが多いから、プロでもない限りモルトなしでいいのかな、なんて思ってしまう)

投稿: しょうだ | 2015年11月 7日 (土) 18時22分

しょうだ様、こんばんは。
私の場合、溝にアルコールを少し流し込んでおいて、そこに長めに切ったモルトをはめ込むように入れました。アルコールで糊が効かないのですんなり溝に入ってくれました。いかがでしょう。

投稿: よもかめ亭主 | 2015年11月 7日 (土) 22時28分

フィルムカメラ3台で遊んでいますが、非常に参考になりました。
そこで、一つお教え下さい。
カメラのミラーが跳ね上がる部分にもモルトと言うか緩衝材が貼られていますよね? スポンジ状に思えるのですが、その張り替えかたやパーツはどこで調達できるでしょうか?

投稿: Fujipon | 2015年11月14日 (土) 15時29分

Fujipon様、こんにちは。コメントありがとうございます。
ミラーボックス内、フォーカシングスクリーン下側の跳ね上がったミラーが当たる所に貼られているものですね。裏ぶたの遮光に使うのと同じモルトプレーンですが、厚みが2ミリから3ミリぐらいのものが使われていますね。貼替え作業自体はそう難しくはありませんが、ミラーやスクリーンに傷をつけないように慎重に、貼るときよりも劣化したモルトを除去するほうが時間が掛かると思います。モルトプレーンはヨドバシや大きな中古カメラ屋さんで扱っていると思いますが、ネットですとジャパンホビーツールで検索してみてください。修理材料や道具がいっぱい出てきますよ。

投稿: よもかめ亭主 | 2015年11月14日 (土) 16時45分

大変参考になりました。モルトはプロフェッショナルの人にしか交換できないと思い込んでいました。不器用な私でも時間さえかければ出来そうな気がしてきました。材料や道具も一般人でも入手可能なのですね♪
近々チャレンジしたいと思います。

投稿: あんみつ☆乙女 | 2015年11月27日 (金) 04時16分

あんみつ☆乙女様、はじめまして、おはようございます。
モルト貼替えはプロの修理人でなくてもチャレンジできるのが楽しいところですね。じっくり時間をかけて慎重にやるのがコツだと思います。あと、裏ぶたを開けたカメラがグラグラしないように、固定するとやりやすいですよ。文庫本積み上げたり、何か台になるものに乗せるわけですね。いろいろ工夫してチャレンジしてみてください。

投稿: よもかめ亭主 | 2015年11月28日 (土) 09時31分

貴重なアドバイスに感謝します。さいわい文庫本でしたら大量にあるので、モルト張替え中にカメラを倒さずに済みそうです。本当に有難うございました♪(^^)/

投稿: あんみつ☆乙女 | 2015年12月 1日 (火) 17時04分

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